どんなに厳しい時代でも、人に夢を与える服を作ろう――東京スタイルとその中興の祖、故高野義雄氏をモデルに、70年に及ぶアパレル業界の歴史をリアルに描いた経済小説『アパレル興亡』。その著者、黒木亮さんが、かつてない苦境に立たされているファッション業界に、熱いメッセージを寄せた。
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■夢を与えよ
今、道を歩いていて、人が振り向くような服装をしている人が少なくなっています。だからこそ逆に、気分を高揚させるファッションが再び受け入れられる余地があると感じています。しかも、ただの豪華さではなく、実用性を伴う豪華さというものが求められている。今のように景気が悪いと、なかなか購買意欲は湧きませんが、お金を持っている人は持っており、アパレル業界としては新たな流行を作り出す努力をしなければいけません。