マルカワの湘南店は年間約1万本のジーンズを販売する人気店。同社はECモールでの販売を急速に伸ばしているが、実店舗が持つ昔ながらのジーンズカジュアルショップの役割も重視している。コロナが落ち着き、店頭に客も戻ってきており、湘南店も旗艦店として常連に長く愛される店作りに磨きをかけている。
同社は61年に町田でジーンズショップマルカワを開店したのを皮切りに、全盛期は関東を中心に54店を運営していたが、近年はECを強化してきた。コロナ禍の影響もあり、現在のEC化率は約9割。実店舗は5店まで減らした。
その旗艦店が湘南店で、小田急線本厚木駅から車で約10分の国道沿いにある昔ながらのロードサイド店だ。
2層で売り場面積約1300平方メートル。特徴はメンズ・レディス合わせて約1万本のパンツの在庫で、ほとんどがジーンズだ。
「リーバイス」「ビッグジョン」などの定番ブランドのほか、国産の高価格帯ブランドまで幅広く扱っている。中核は「エドウイン」の「503」などの定番モデルで、同ブランドだけで月に400~700本を販売する。
主な客層は常連の家族客。「子供のころからここでジーンズを買っているという客が多い」と同店の岸亮太店長。「レディスのジーンズが充実した店は貴重」と通う女性客も少なくないという。
広い駐車場には頻繁にキッチンカーを招く。コロナ下に本格化させた施策で、厳しい時期の集客に貢献し、現在も継続している。店内には自販機と休憩スペースもあり、家族でゆっくり買い物が楽しめる。
コロナが落ち着いてからは客数、売り上げ共に回復してきたが課題もある。「一度、ジーンズ以外のレディスの扱いをやめたところ、客数が大幅に減ったことがあった」(岸店長)。現在はレディスを再び扱い始め、〝街のカジュアルショップ〟の機能を再強化している。
岸店長は「マルカワはECが強いが、そちらはスポーツウェアやトレンドカジュアルが主力。長く愛されるジーンズカジュアル店の立ち位置は実店舗が担っている」と話す。
今後も「いつ来ても定番やお気に入りのジーンズが買える王道の店を貫き通す」とし「親しみやすく、誰もがジーンズを軸にしたトータルファッションが楽しめる店にしていく」考えだ。