1924年9月28日は、マストロヤンニの生まれた日です。イタリアの名優マルチェロ・マストロヤンニはこの日、イタリアのフォンターナ・リーリに生をうけています。
少年のころから、映画を観るのが好きだった。昼ごはんがすむと、菓子パン二つをおやつに持って映画館に。そのころの映画館は2本立てで、ニュース映画もあって、観終わった時には日が暮れていたそうです。
第2次世界大戦がはじまると戦場に。一時は敵の捕虜になっています。映画「ひまわり」は必ずしも他人事でもなかったのでしょう。戦後解放されてからますます俳優への情熱を燃やすように。巨匠ルキノ・ビスコンティの目にとまったことで、本格的に俳優への道を歩むことになります。その後、しばらくはビスコンティ演出の舞台に立っています。映画の前に演劇の時代があったのです。
古今東西の映画俳優の中で、イタリア人に限定するならマストロヤンニは最高の「着巧者」です。例えば、1967年の「異邦人」を観ても、スーツが自然に見える。マルチェロ・マストロヤンニの場合、どれを観ても「衣装」ではない。自分の服を自然に着こなしているように見えるのです。これはマストロヤンニだけの「芸」というものでしょう。(服飾評論家・出石尚三)