【パリ=松井孝予通信員】仏LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンは、「ルイ・ヴィトン」(LV)、「ロロ・ピアーナ」(LP)、「クリスチャン・ディオール・クチュール」(CDC)の経営幹部異動を発表した。すべてグループ内からの昇格で、急速に変化する市場環境への対応とともに、創業家による後継体制の整備を進める動きとも受け取れる。
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LPのダミアン・ベルトラン氏は、6月10日付でLVの副CEO(最高経営責任者)に就任し、26年にはLVMHの経営執行委員に加わる予定。同氏の後任には、時計部門を率いてきたフレデリック・アルノー氏(30)が就く。ベルナール・アルノーLVMH会長兼CEOの三男であるフレデリック氏は、タグ・ホイヤー再建や高級時計メーカー「レペ1839」の買収を主導するなど実績を重ねており、後継候補としての存在感を強めつつある。
また、LVMHファッショングループの複数ブランドを統括していたピエールエマニュエル・アンジュログルー氏は、CDCの経営責任者に就任する。同氏はデルフィーヌ・アルノーCDC会長兼CEOのもとでこれまでも連携しており、業績のてこ入れが急がれる同メゾンの経営体制強化とみられる。
中国市場にけん引された成長の10年が転換期を迎える中、LVMHは創業一族による承継と実力派幹部の布陣により、長期的な安定成長への基盤作りを加速させている。