【パリ=松井孝予通信員】LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンの24年12月期決算は、過去最高となった前年から一転、減収減益となった。売上高は前年比2%減の857億ユーロ。為替変動の影響を除いた比較では1%のプラスを維持した。営業利益は14%減の196億ユーロ、営業利益率は3.4ポイント低下し23.1%。純利益は17%減の125億ユーロだった。
減収要因は、コロナ禍沈静化後の成長をけん引してきたアジア市場(日本を除く)、特に中国の低迷が大きく影響した。同地域の売上高は11%減少し、全体の売り上げ構成比も前年の31%から28%へと縮小。一方、日本は円安とインバウンド需要の拡大に支えられ28%増。米国は高級品消費に回復の兆しが見られ2%増、欧州は旅行需要を背景に3%増となった。
いくつかのラグジュアリーファッション企業が業績回復を見せるなか、LVMHの売り上げの約半分を占めるファッション&レザーグッズ部門は3%減の410億ユーロ、営業利益も10%減と、中国市場の低迷の影響が色濃く表れた。10~12月には、ウォッチ&ジュエリー、パフューム&コスメティック、セレクティブリテイリング(DFS、セフォラ、ル・ボン・マルシェなど)が売り上げ回復に向かったものの、ファッション&レザーグッズの成長は1%にとどまった。
LVMHは決算報告の場で、「現在の状況は構造的な問題ではなく、景気循環的なもの」との見解を示し、中国市場の消費意欲は損なわれておらず、経済の回復とともに再び成長すると見込んでいる。