毎年メンズコレクションのシーズンに同時に発表されるファッション学生の卒業コレクション。パンデミック中のオンライン授業から解放され、物作りの環境が揃ったZ世代のデザイナーの卵たちは、何を考え、何を創造しているのだろうか。どんなバックグラウンドを持った若者が、次世代のロンドンファッションをリードするのだろうか。ロンドン各地に点在する五つの有力校の卒業ショーを振り返る。
(ロンドン=若月美奈通信員)
恒例のトップバッターは、ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ。ロンドン芸術大学に属するもう1校、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションは遅い時期に発表するため、街中に位置する国際的な有力校のショーとしては唯一となる。
会場はキングスクロスの校内。グラフィカルに設置されたベンチシートを縫うように1人5ルック前後、134人の卒業生の作品が次々と登場した。
アイデアを大胆に
美大であるこの大学の特徴は、自身のアイデアを大胆に形にすることにある。クラフトワークを大切にした物作りは、時には粗削りだが、迫力がある。
背丈の2倍ほどの操り人形を背負って登場したモデルに始まり、浮き輪のようなチューブを巻き付けたドレス、背中についた大きな家具の穴からお尻がのぞくドッキリスタイルまで、アートとファッションの境界をさまよう作品が続く。
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