「ロエベ・クラフト・プライズ2019」 日本人が大賞受賞

2019/06/26 10:45 更新


 ロエべ財団が主催する「ロエベ・クラフト・プライズ2019」は25日、東京で最終審査を行い、石塚源太さんの作品を大賞に選んだ。特別賞は、高樋(たかどい)一人さんと、英国人のハリー・モーガンさんの2人。3回目の開催で、日本人が大賞を受賞するのは初めて。

 同プライズは、ロエベのクリエイティブディレクターのジョナサン・アンダーソンが発案、現代の文化におけるクラフト(工芸)の重要性への認知を広げ、革新的な才能や視点を持つ作家の発掘を目的とする。前回は、86カ国約2000点の作品の応募だったが、今回は100カ国以上から2558点の応募があった。特に日本人の応募が増え、ファイナリストの29人中、10人は日本人だった。

 石塚さんの作品は、球体の集合物に天然漆を何層にも塗り重ね、深みと透明感を表現したオブジェ。審査員のアンダーソンさんは「何百年も前から存在する漆の知識と技術を生かし、次世代の作品を作った。今だけでなく、1000年前、1000年後に見ても違和感のない、タイムレスな形」と評価した。

 また、「今回、賞を取れなくても、スキルとクラフトへの理解を持っていれば、誰でも可能性がある。3年続けて応募した人もいるし、何度でもチャレンジして欲しい」と話した。ファイナリストの作品は、7月22日まで草月会館で展示している。

天然漆を塗り重ねた石塚さんの作品。後ろの壁面に掛かっている、小枝などを編んだ立体は高樋さんの作品。
写真中央が大賞の石塚源太さん、その右がジョナサン・アンダーソンさん、高樋一人さん


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