「エブリデニム」〝作り手と買い手との新たな関係作り〟

2018/05/03 04:30 更新


《ローカルでいこう》「エブリデニム」 全国を回り移動販売 人と人との交流の場 リアルでもネットでも

 店舗を持たず、全国各地に足を運んで試着販売会を実施してきたデニムウェアブランド「エブリデニム」(山脇耀平、島田舜介共同代表)が〝作り手と買い手との新たな関係作り〟に挑み始めた。クラウドファンディング(CF)で集めた資金で購入したキャンピングカー「えぶり号」に商品を積み、5日から47都道府県を訪問する移動販売をスタートした。14日にはオンラインコミュニティーサイト「えぶりシティ」も立ち上げる。〝物作り〟を軸に、人と人とが交流する場をリアルとネット双方で生み出そうとしている。

(友森克樹)

累計約2500本を販売

 92年生まれの山脇さんと94年生まれの島田さんは兵庫県出身の兄弟。島田さんが大学進学で岡山県に行き、デニムやデニムアイテムの生産現場を目にし、職人と交流したことがブランド誕生のきっかけだ。物作りの魅力を発信するウェブメディアとして14年にスタート。15年9月にブランドを立ち上げた。

えぶり号とえぶりシティのプロジェクトに関わる仲間たち。中央の男性2人が山脇さん㊦と島田さん㊤

 これまでに4型のオリジナルデニムパンツを作り、全国のカフェやゲストハウスなどのコミュニティースペースを中心に試着販売会を繰り返してきた。最新モデルは、緯糸にシルク糸を使ったデニムパンツ「ブリリアント」(2万1600円)。自社オンラインストアでの販売も含め、これまでに累計約2500本を販売した。

 購入者の多くは、山脇さん、島田さんと「消費に対する価値観が近い同世代」だ。「品質、機能性だけで購入を決めるわけではなく、生産背景や作り手、売り手の思いも加味して選んでくれている」という。

 立ち上げから2年半が経ち、少しずつ知名度も上がってきた。「全国にいるお客さん一人ひとりとの距離を縮め、コミュニケーションを深めながらぼくたちのデニムを届けたい。もっといろんな地域のいろいろな人に出会いたい」との思いから、移動販売プロジェクトをスタート。17年6月にCFサイト「キャンプファイヤー」でえぶり号の購入資金を募ったところ、776万800円を集め話題となった。えぶり号は自らの手でデニムをイメージした色に塗装、内装も自分たちの手で行って年明けにようやく完成した。

活動内容の報告会も

 えぶり号は、1カ月のうちの約1週間で特定地域を回る。これを来年の夏頃まで繰り返し、47都道府県を訪問する計画だ。ストライプインターナショナルのレディス古着ミックス業態「レベッカブティック」のディレクターを務める赤澤えるさんも「服の生産地を自らの目で見て探したい」との思いから同乗している。

 5日にスタートした初回は、北関東地域の桐生、日光、黒磯、宇都宮、つくばなどを回った。途中、織物工場や農場などに足を運び、業種を問わず生産者と交流した。8日の夜にはつくばのコミュニティースペース「ツクバプレイスラボ」でトークイベントと試着販売会を開いた。

8日のトークイベント・試着販売会には、大学生を中心に約20人が集まった

 えぶり号での活動は月1回、都内で報告会を行うほか、えぶりシティでも報告する。「行って、帰って、それだけで終わるのではなく、僕らが体験した物事を、生産や消費に対する価値観が近い人たちで共有したい」という。初回の報告会は14日に東京・恵比寿で開く。えぶりシティは〝住民税〟として月額1026円(税込み)を払うことで、えぶり号の活動報告以外のコンテンツも享受できる。

 今後もデニムウェアを届けながら、「作り手と消費者の距離を近付ける」取り組みを積極的に行っていく考えだ。



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