韓国のファッションデザイナー、イ・サンボン氏が文化服装学院で特別講義を行った。イ氏はレディー・ガガやビヨンセの衣装を手掛けたことでも知られる。「作品にはデザイナーの汗と涙が詰まっている。年4回のシーズンで終わりを繰り返すが、誕生の喜びもある」と学生に語りかけた。
セイコーエプソンの招きで来日し、文化服装学院とつなげた。イ氏は自身の服作りにエプソンのインクジェットプリンター「モナリザ」を活用、同氏が教授を務める韓国・弘益大学ファッション大学院でもエプソンコリアが出前授業を行うなど協力関係にある。
特別講義では文化服装学院ファッション高度専門士科の学生らに向け、パリ、ニューヨーク、ソウルで披露した自身の過去のコレクションを通じてデザインのモチーフや服作りについて紹介、ハングルなど韓国文化を融合させたインテリア、自動車、家電デザインなども見せた。
ファッション産業の課題としてESG(環境・社会・ガバナンス)についても触れ、デザイナーが社会とつながっていくことの重要性について話した。
海外留学生を含む学生らとパネルディスカッションも行った。学生からデジタルプリントの魅力を聞かれ、イ氏は「40年間デザイナーをしているが、手作業のミスも多かった。デジタルによってミスをなくし、時間と人手を節約できるのはESGにとってもプラス」と答えた。
今回の特別講義開催の経緯についてエプソンは「文化服装学院とさまざまな取り組みを行っており、デジタルプリントの普及につなげている。エプソンコリアで関係の深いイ氏の話を伝えたところ、『ぜひやろう』となった。海外留学生も多く、日本で学んだデジタルプリントを例えば韓国で生かしてもらうこともできる」(五十嵐人志執行役員)と話した。
イ氏はエプソン広丘事業所(長野県塩尻市)と富士見事業所(長野県富士見町)にあるテキスタイル関連のソリューションセンターも訪れた。