国内なめしのレザー傾向に変化

2016/01/08 06:30 更新


 国内の皮革卸やタンナーが扱うレザーの傾向が大きく変わってきた。新しい価値を生み出すものとして、ピッグスキンの活用が進んでいる。この数年、海外から輸入する牛の原皮価格が上がり続け、牛革の安定供給が難しくなったためだ。婦人靴ではヤギや羊などシルキーな革に切り替えが進んでいる。(須田渉美)

 皮革卸大手の富田興業は16~17年秋冬に向け、ピッグスキンのバリエーションを打ち出した。新素材で30種近くを提案した。

 これまでも意欲的に企画・開発してきたが、「特徴のあるタンナー加工の4社とタッグを組んで」(藤田晃成部長)一段と強化する考えだ。薄地で縫製や加工がしやすく、変化に富んだ風合いと安定した価格帯が取引先に受け、今秋冬の供給量も前年同期比で30%近く伸びた。長年の積み重ねで染色や加工の精度は上がっており、一枚革で服地感覚の色柄に仕上げたタイプも充実する。

 同社が提案したピッグスキンはラグジュアリーブランドの採用実績があり、今後の輸出にも期待を高める。「食肉として皮まで利用する欧米やアジアにはない、日本独自の素材として競争力のある分野」と見ている。

 昨年12月に開かれた東京レザーフェアでも、装飾性の高いピッグスキンが盛んに提案された。「地産地消の素材であり、都内に加工場があるのでスピーディーかつ、小ロットで購入できて利便性が高い」(トレンドコーナーを編集するジャルフィックの池田正晴社長)ため、さらに普及が進みそうだ。

 国内のタンナーが加工する牛革は、高級品市場向けが中心となってきた。さらに原皮が高騰するなかで、使い続けられるのは毎年、一定規模の量を購入している企業に限られる。紳士用途は、滑らかで均一な表革にこだわるブランドや定番物が多く、店頭で差別化するために、より上質素材を求める傾向にある。百貨店の紳士雑貨売り場をはじめとして、高額商品は売れており、「革そのものの風合いをしっかりと出せるなら価格も通る」と見る皮革卸は多い。

薄くて加工がしやすく、服地のような色柄が揃うピッグスキン
薄くて加工がしやすく、服地のような色柄が揃うピッグスキン

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