「グラッド」「ギルト」の国内2強フラッシュセールECサイトを運営するラベルヴィー(東京)は、今年1月1日から「在庫ソリューションカンパニー」として、ファッションブランド・小売りの在庫消化サポートを強めている。合計会員数500万人の2サイト利用とアクティブ化を高めるため、1チーム・1システムでの運営体制を構築し、最旬の在庫の取り扱い、買い取り在庫を増やす。昨年から中国越境ECに実験的に乗り出した。
(疋田優)
同社はグラッド(東京、アラン・スラス代表取締役)がギルト・グループを吸収合併して設立した。2サイト合わせて会員数は500万人超、月の取り扱い商品10万点超、取り扱いブランド数7700(両サイトともに取り扱いは5000)、主要顧客は30~40代で、年間売り上げ200億円(グラッド6割・ギルト4割)と、セールサイトを運営する国内最大手企業となった。
統合後の経営体制は、渡辺サブリナ氏と香取純一氏がCEO(最高経営責任者)に就いた。この半年は、2社で異なっていた業務フロー、MD、ささげ(撮影・採寸・原稿)、商品登録方法を統一し、全スタッフが2サイト運営に携われるように業務の共通化を進めてきた。
相互の強みを移植
現在は1チーム・1システムで運用する体制へ整備し、相互のサイトの強みを移植中だ。
マス向け商材・中価格帯に強いグラッドは女性会員が9割を占めており、一方のギルトはハイブランドに強く、メンズ比率が高い。そのためグラッドにギルトのメンズ担当がMDに加わり、グラッドメンズの1~5月売り上げを前年同期比24%伸ばした。同様にギルトのレディスにグラッドのレディスMDノウハウを入れ、同期間の伸び率は20%となっている。
ギルトはシステム面でブランド数や商品展開数が制限されていたが、今はその課題を解消して商品展開数が広がり、2サイトに販売する商品も増えている。
買い取り比率高める
さらに会員のアクティブ率を高めるため、直近から1年までの在庫を増やし、買い取り比率も高めている。現在買い取り率はグラッドが5%、ギルトは35%。ギルトの買い取りノウハウをグラッドに活用し、商品特集やイベントを増やしている。
これら施策で現在は「トリーバーチ」やディノス・セシールの「ダーマコレクション」が売り上げを伸ばしているという。
今後の課題は「性別・年齢・価格帯・全カテゴリーでの力量アップ」。2サイトで同一ブランドを相互に販売し、よりアクティブ会員化と在庫消化のスピードを高め、幅広いブランドの活用を促す。
物流倉庫は今後拡張が可能な千葉・市川に統合した。ECシステムの統合は8月に第1段階に着手する。
また、グラッドで中国越境ECに18年秋から挑戦している。中国パートナーと組んで、サイトは中国で制作し、受注が入れば、中国に在庫を送る。中国でのファッション消費の成熟化をにらみ、早めに中国人のニーズを把握していく考えだ。