小松精練と東京大学の隈研吾教授が率いる「サステナブル・プロトタイピング・ラボ」(SPL)の展示会とシンポジウムが21日、東大で開かれた。5回目となる今回のテーマは「この先につなげる都市環境のアイディア」。この間進めてきた素材や建材、部材が「グリーンインフラ」として活用され始めている事例などを紹介した。
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展示会では、小松精練が開発した染色廃棄物を活用した超微多孔性発泡セラミックス「グリーンビズ」の活用例や、バリエーションの広がりが注目された。保水機能を生かした屋上の治水インフラ「グリーンビズダム」、初出展の壁材「グリーンウオール」、顆粒状で砂や土と混ぜることで土壌改良や地面の遮熱性を付与できる「グリーンビズカリュー」などで実用実績も広がっている。
このほか、熱可塑(かそ)性炭素繊維複合材料「カボコーマ」で老朽化したポールなどを巻き上げて補強する「YCK」工法、街中に設置し、ぬれずに涼しいミストを発したり、遮熱効果を持つベンチなどに使う「グリーンタワー」、帝人フロンティアの軽量天井材「かるてん」に小松精練がインクジェットプリントで加工したサンプルなども披露された。
隈教授は「大地震や豪雨、洪水などで、今までの建築技術では立ち行かなくなっている」とし、地面に透水性材料を使うことで地表の水を地下に流し水流を作るといったグリーンインフラや、木造建築の耐震補強に重い鉄を使うのでなく、軽量で柔軟、温度による伸縮もないカボコーマなどの活用が必要と訴えた。カボコーマは長野県の善光寺の耐震補強に、グリーンビズは新国立競技場などにも使われている。小松精練の中山賢一会長は「目先のわずかなコストに目を奪われ、孫子の時代に悔いを残さぬよう、良い建築材料を使って欲しい」と訴えた。