国境を越えたアートエキシビジョンで平和を願う(宮沢香奈)

2022/03/31 06:00 更新


友人のギャラリー「Bermel von Luxburg Gallery」で開催されたプライベートパーティーでは、ゲストのピアニストによる美しい生演奏が披露された。ショパン、ドビュッシー、リストの名曲を目の前で堪能させてもらったステキな夜となったが、韓国人ピアニストのクリスティーヌ・パークさんが演奏前に“平和へ願いを込めて弾きます”と言い、その場にいたゲスト全員が同じ気持ちになったのを感じた。

コロナ規制もようやく大幅に緩和されることが発表された直後に、ウクライナ侵攻が始まった。ウイルスも紛争も陰謀もずっと昔から存在している、それでも、コロナからようやく解放されると喜んだのも束の間、世界はまた平和とは程遠い新たなフェーズに入ってしまったのだ。何かに怯えたり、憤りを感じたりせず、心穏やかに過ごせる日は一体いつ訪れるのだろうか。

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現在「Bermel von Luxburg Gallery」では、4月2日までソウルとベルリンによる合同エキシビジョン『Berlin meets Seoul』が開催されている。同展は「Kunstleben Berlin」と「Choi&Choi Gallery」の共同主催により、韓国とドイツそれぞれを拠点に世界で活躍しているアーティストの作品が展示されている。参加アーティストは、Armin BOEHM, Peter HERRMANN, Jinyoung YU, Jaeho JUNG, Wonkun JUN, Seahyun LEE, Kelvin Kyung Kun PARK, David LEHMANN, Nikolai MAKAROV, Robert PAN, Regina SELLの11組。

「Kunstleben Berlin」のキュレーターDr.Rania氏と知り合いになったが、とても興味深いプロジェクトを手掛けている。「Kunstleben Berlin」は、アートが盛んな世界各地の都市とベルリンを繋ぐプロジェクトとして、2009年にスタート。ニューヨークとの合同エキシビジョン『Berlin meets New York』から始まり、毎年、両方の都市で交互にエキシビジョンを開催している。ニューヨークとはすでに10回も開催しているとのこと。

残念ながら日本とはまだ開催していないとのことだが、アジア諸国では他に台湾と開催しており、今年が韓国となった。会場の「Bermel von Luxburg Gallery」は、2018年にオープンし、世界の近代美術、現代美術を中心に彫刻、ドローイングの気鋭アーティストの個展やグループ展を開催している。2020年のアートウィークでは、日本人彫刻家も参加したエキシビジョンの取材をさせてもらった。

おいしいワインを飲みながら全ての作品をじっくり観させてもらい、コロナによって一時停止を強いられてきたアートや音楽、ファッションといったカルチャーの重要性、デジタルでは絶対に得られないフィジカルな人との出会いの大切さを改めて実感した。

クリスティーヌさんのステキな演奏はこちらからご覧になれます。

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長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。

セレクトショップのプレス、ブランドディレクターなどを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積みながら、ライターとしても執筆活動を開始する。ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーの取材を行うなど海外へと活動の幅を広げ、2014年には東京からベルリンへと拠点を移す。現在、多くの媒体にて連載を持ち、ベルリンをはじめとするヨーロッパ各地の現地情報を伝えている。主な媒体に、Qetic、VOGUE、men’sFUDGE、繊研新聞、WWD Beautyなどがある。



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