ベルリンファッションウィークレポ(宮沢香奈)

2017/03/02 15:11 更新




1月中旬、意識が遠退きそうな寒さの中、メルセデスベンツ主催によるベルリンファッションウィークが開催され、久しぶりに参加させてもらった。1000以上ものブランドが出展する最大規模を誇る

PREMIUM」は、スポーツミックスのカジュアル路線が主流となっている中で、落ち着いた雰囲気のブラックモードなコレクションが見れる唯一のトレードショウである。

 



関係者の感想はそれぞれであるが、私個人としてはやはり「PREMIUM」が一番見応えがあり、自分のテイストに合うと感じた。中でも今回初出展となった”pas de calais”のクリエイションは本当に素晴らしかった。まだパリや日本での展示会を控えているため詳細は伏せさせて頂くが、日本の美意識である「WABI SABI」をテーマとした今回は、和とモードがミックスされた繊細で美しいコレクションだった。

昨年夏にパリのマレ地区にあるショップにお邪魔させてもらい、ガラス張りのステキな内装の店内と商品に触った時の生地の上質さにゾクッとした覚えがある。そこから一度フルコレクションを見てみたいと思っていたところ、今回のベルリンファッションウィークで実現したのだ。

ブラックを基調としながら単純なマットではなく、こだわり抜いた染めや触った時の手の感触から”和”の繊細さや奥ゆかしさを感じ、背景に歴史的文化や大切にされてきた美を見ることが出来た。また、細部にこだわったディテールデザインやシルエットも美しく、パンツ、ニットなど欲しいアイテムばかりで困ってしまった。

女性らしさを強調するボディコンシャスなラインこそないが、シルバーグレーのオールバックのモデルが着こなすルックからも気品溢れるクールで”良い女”像が浮かぶ。

ベルリン有数のセレクトショップ「ANDREAS MURKUDIS」で人気があるというのも納得出来る。全体的には決してオシャレとはいえないベルリンの街においても品質にこだわった日本の良いブランドは理解され、需要があるのだ。今後の展開も非常に楽しみである。





それ以外の会場の様子は写真とともに説明したい。

 


ガーリーな総柄とミリタリーテイストが印象的だったデンマーク発のカジュアルブランドminimumは、エントランスからすぐの一部屋を丸々使った大々的な展示で、とても勢いを感じた

 
個人的に気になったAmerican Vintageのパステルカラーのスウェードバッグシリーズ

 
プレスラウンジの様子、人気のDRYKORN(写真下も)



全体的に勢いがあって、今後の展開が気になったのは、アウトドア系ブランドがメインのBRIGHTである。実は今回初めて見に行かせてもらったのだが、スタートは2005年からと長く、他のトレードショウ同様に年2回開催されている。

スケートボード、スノーボード、エクストリーム系のメーカーが多数出展しており、色使いや小物使いの上手い洗練されたストリートスタイルの来場者や関係者が多く、メンズがメインでありつつも、とても参考になった。

(何と!!寒さでデジカメが動かなくなるというアクシデントがあり、写真はありません。)

3月末には、ベルリンオルタナティブファッションウィークが開催される。正直これまではあまり興味がなかったのだが、海外から取材に来ていたジャーナリストやフォトグラファーからの注目度が高く、メディアでも目にするようになってきた。

かなり奇抜で、ファッションというより独創的な創作物という勝手な印象があったが、ベルリンだからこそ表現できる突き抜けたおもしろさやカルチャーがそこにはあるのかもしれない。今年はどんなショウになるのか非常に楽しみである。



宮沢香奈 セレクトショップのプレス、ブランドのディレクションなどの経験を経て、04年よりインディペンデントなPR事業をスタートさせる。 国内外のブランドプレスとクラブイベントや大型フェス、レーベルなどの音楽PR二本を軸にフリーランスとして奮闘中。 また、フリーライターとして、ファッションや音楽、アートなどカルチャーをメインとした執筆活動を行っている。 カルチャーwebマガジンQeticにて連載コラムを執筆するほか、取材や撮影時のインタビュアー、コーディネーターも担う。 近年では、ベルリンのローカル情報やアムステルダム最大級のダンスミュージックフェスADE2013の現地取材を行うなど、海外へと活動の場を広げている。12年に初めて行ったベルリンに運命的なものを感じ、14 年6月より移住。



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