ニット生地メーカーの川村ニット 鹿の毛を使った「ジビエ・ディア・メルトン」開発

2022/03/10 10:59 更新


鹿の毛入りメルトン生地を開発(原毛と糸、テキスタイル)

 ニット生地メーカーの川村ニット(岐阜県安八町、川村康文社長)は、岐阜県下で害獣駆除される鹿の毛を使ったテキスタイル「ジビエ・ディア・メルトン」を開発した。テキスタイル企画は川村ニットの川村直子さん、編み立ては後藤惣ニット(岐阜県羽島市、後藤晴美社長)と、女性によるプロジェクトだ。仕上げを艶金(岐阜県大垣市)、縫製も県内で行う「メイドイン岐阜」をアピールしている。

 開発は川村ニットが県の公的団体から鹿の毛利用について相談されたのが始まり。鹿の毛は中空構造で「ケンピのような」ストレートヤーンが特徴。色はグレーからベージュ。川村ニットは衣料用生地に使えるウール70%・ナイロン20%・鹿の毛10%、毛番で10番手単糸の紡毛糸を開発した。生地は、表面に浮き出るような素材感を作り出すために、丸編み生地の圧縮加工によるメルトン生地に仕上げた。女性中心のプロジェクトを推進するために、岐阜県下の女性経営者の縫製工場にも参加を呼び掛けている。

 鹿の毛は、ジビエレストランを揖斐川町で経営するキサラエフアールカンパニーズ(所千加社長)が供給する。全国に生息する鹿は300万頭以上。古くから高級皮革として鹿皮が知られてきた。現在も剣道のコテに皮革と毛(クッション材)が使われている。生息数の増加によって農作物に害を及ぼすようになり害獣に指定され、全国で年間14万頭が駆除されている。ほとんどが埋却や焼却処分されている。農水省はジビエ料理など食肉での有効活用を提唱しているが、皮革や毛の利用は進んでいない。岐阜県でも7000頭余りが駆除され、ジビエ料理などで食用もされている。

 このほど東京で開かれた合同展「コダワリノヌノ2022」に出展したところ「好評価を得た」という。22~23年秋冬向けはキサラエフアールカンパニーズから20~30キロ程度の鹿の毛を調達した。そこから10%混の原糸500キロを作った。用途はコートやジャケットのほか、ブランケットやケープなどを想定する。川村ニットは「廃棄する原料を使ったサステイナブル(持続可能)性、ジビエ料理と関連する面白さをテキスタイルや製品で提案したい」としている。



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