《レトロ商店街新時代》自由が丘ひかり街、名物アーケードに新風㊦ 空床を活用しイベント

2025/02/26 12:30 更新NEW!


街のスイーツイベントに合わせて洋菓子の人気店などを集めた

 自由が丘はイベントが多い。毎年10月に開催する「自由が丘女神まつり」をはじめ、年中様々な催しがあることで知られている。ひかり街もそれらに合わせ、空床を活用した企画を打ち出している。

【関連記事】《レトロ商店街新時代》自由が丘ひかり街、名物アーケードに新風㊤ 期間限定店を招き若返り

スイーツからレトロまで

 「スイーツの街」として名高いだけに、毎年ゴールデンウィークに街を挙げた「自由が丘スイーツフェスタ」が行われている。駅前の広場に人気店が集まってマルシェを開くなどし、全国からスイーツファンが訪れる。

 ひかり街には和菓子の名店はあるが、洋菓子の店が少ない。そこでスイーツフェスタの会期中の24年5月4、5日に、カウンターワークスとカフェ特化のメディアアプリ「カフェスナップ」と協力し、貸出スペースを使ったイベントを開いた。

 全11店が参加。多くの賞を持つチョコレートブランド「ミニマル」が出店したほか、世界的に有名なバリスタによるコーヒーの販売などもあった。普段はひかり街を利用しない客の来場も多かったという。

 10月13、14日に開催された女神まつり2024では、アーケード街のレトロな雰囲気を生かした企画で勝負した。昭和・平成・令和の三つの時代の空気を一度に味わえるイベントとして、雑貨や食品などの12のショップを集めた。

 「昭和レトロ」ゾーンには、駄菓子屋や昭和歌謡レコードの販売店などが出店。「平成ノスタルジー」ゾーンにはコスメやアクセサリーのブランドが集まった。「令和エモーショナル」ゾーンはフレグランスや韓国雑貨の店を誘致した。レトロ文化ブームの追い風もあり、若年層の客でにぎわうなど手応えがあった。

レトロな雰囲気を生かして駄菓子屋なども誘致

永続的な若返りへ

 マガジンハウスが発刊するファッション・カルチャー雑誌『ポパイ』と手を組んだイベントも好評だった。24年6月に同誌のウェブ媒体「ポパイウェブ」と協業で、編集者の私物を販売するバザーを開いたところ、平日開催にもかかわらず、2日間の会期で100人以上を動員したという。

 自由が丘ひかり街協同組合の仙波剛専務理事は「空床の有効活用に成果が出ているが、これを継続することが大事」とみる。将来的には期間限定店で手応えをつかんだ事業者が、正式に出店する事例も作りたい考えだ。「何かに特化した多様な専門店が多いのがひかり街の魅力。若返りを図りつつ、それに磨きをかけたい」と話す。

 コロナ禍による消費者の動きの変化、地権者や組合員の高齢化による廃業などで、空床に悩む商店街は多い。シャッター通りという言葉を、地方だけでなく都市部で聞くことも増えてきた。ひかり街の取り組みの成功は、そうした全国の商店街にとって大きなヒントになるはずだ。

関連キーワード連載



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事