日本の技術を発信 差別化機運盛り上げる
29日に開幕した繊維総合見本市のJFWジャパン・クリエーション(JFW‐JC)、テキスタイルビジネス商談会のプレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)では、培ってきた技術の深掘りや組み合わせの妙で新しさを引き出した素材が競演し、市場の差別化機運を盛り上げている。
■丸井織物 洗えるスーツをかっこよく
丸井織物は、需要が拡大している〝洗える〟スーツやジャケットに向け、杢調のポリエステル100%織物を打ち出した。追求したのは、ウールのトップ杢の再現。スポーツテイストのトレンド浮上に伴い、他社でも杢調合繊の提案が増えているが、同社は糸の作り方から工夫を凝らし、より天然繊維の見た目に近づけた。ストレッチやコーティングなど同社の糸、後加工技術でバリエーションを増やし、百貨店アパレルからカジュアルアパレルまで、幅広い顧客から好評を得ている。
■大定 エスニック柄の細幅レース
トーションレースの細幅資材を手掛ける大定は、エスニック調の柄演出ができる新たな技術を開発した。工業的に生産でき、効率と表現力を高めた手法でレースっぽくないデザインを展開する。途中で編み込まない部分を作って、その部分でカットするとフリンジ調に房を表現することができるため、ミサンガなどは簡単に製作できる。繊維を選ばず、デザインも自在で、幅は70㍉前後まで対応できる。
■リリーレースインターナショナル アルパカ使いのレース
リリーレースインターナショナルは、アルパカ使いのラッセルレースを開発した。アルパカとウールやナイロンを複合させた糸によるレースと、アルパカ・カシミヤ・シルク、アルパカ・ウール、モヘヤ・シルクの3種の糸によるレースの2タイプで構成。ローゲージでざっくりと仕上げ、ぬくもりがあって、軽く、立体感のある表情、質感を打ち出す。
■西田染工 複合プリントで立体感追求
西田染工は、複合プリント加工「ジオメトリックYUZEN(ゆうぜん)」を出した。ロータリー捺染による繊細な柄に、縦方向のぼかし染めやスクリーン捺染を併用した技法で、デジタルプリントとは違った立体感のある表現を追求した。プリント下地にポリエステルやコットンを使い、モチーフは和の伝統文様をはじめ、迷彩柄など幅が広い。
■ジャパンブルー ソフトなセルビッジデニム
ジャパンブルーは、主力の日本製セルビッジデニムを揃え、加工のバリエーションも見せた。来場者の反応が特に良かったのは、14オンスのオーソドックスなセルビッジデニム。ただし、製織時のテンションを抑えて織り上げることで、一般的な14オンスの生地と比べて膨らみがあり、ソフトに仕上がる。
■渡辺パイル織物 緯糸に麻、加工で多彩な表情
渡辺パイル織物は、緯糸に麻を使ったパイル織物を充実した。麻混による乾きやすさをアピールする。ウェーブやストライプなど柄のバリエーションや、カットパイル、起毛など加工を変えて多彩な表情に仕上げている。人気だったのは、両面パイルの片面に逆起毛をかけ、さざ波のような表面に仕上げた生地。片面パイルに起毛をかけるよりも、ボリューム感が出るのが特徴だ。
■ライフスタイルイノベーショングループ 米国機能素材「セリアント」紹介
日本に紹介されていない原料を世界から持ち込み、顧客視点で商品開発をしているのがライフスタイルイノベーショングループ。昨年紹介した欧州合繊「トリベラ」に併せて、米国の合繊原料メーカー、フォロジェニクスの天然鉱石練り込み繊維「セリアント」を提案している。抗酸化作用や疲労回復作用が米国内ではFDA(米国食品医薬品局)から認証され、スポーツメーカーなどが採用している。日本国内での効果の認証作業を急ぎ、実用化を目指している。