30日に閉幕した繊維総合見本市のJFWジャパン・クリエーション(JFW‐JC)、テキスタイルビジネス商談会のプレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)では、17~18年秋冬に向け、素材から差別化する動きが鮮明になった。店頭の鈍さに慎重姿勢が強まる一方、素材の見直しが進んでおり、新規販路との商談が活発化している。不況下だけに新たな商機を受注に結びつけようと、サポートを厚くしたり、一歩踏み込んだ取り組みを提案する出展者が目立った。
服地コンバーターは、扱い素材のバリーションを広げている。宇仁繊維は合繊やレース、シルク複合、プリント、ジャカード、先染めなど3万品種に加え、新たにプリーツやメンズ向けコレクションの提案を本格的に開始した。
コッカは綿プリントなどに加え、ジャカードや先染めなどの多彩な国内産地でオリジナル開発を進め、新たにソフトな風合いにこだわった綿を展開する。糸や織り、後加工を駆使して、これまでにない綿の風合いを実現した。
北高も、綿プリントからジャカード、ジャージー、メンズ向けなどにバリエーションを広げている。ストレッチやレース、フロッキーなどトレンド性を取り入れたものも増やしている。各社は海外市場も視野に入れて販売を強化する。
新潟の機屋の匠の夢は、オリジナル素材を小ロット短納期で生産する「TQSシリーズ」を前面に打ち出した。共通の経糸を使用し、緯糸の打ちかえで柄を変えるドビー織物で、ミニマムロットは25メートル、最短2週間で納めることができる。
「これまでオリジナルが作りたくても作れなかった小さなアパレルメーカーや、ロットや納期が合わなかった大手」への拡販につながっている。
京都でジャカード織物を主力に生産するエコーは、別注生産を3メートルから受けている。自社で紋紙を制作するため、「どんな柄でも可能」。自社工場と協力工場で生産し、納期も3週間前後で対応する。今回はストレッチ糸を部分的に打ち、裁断した生地を2枚合わせるだけでスカートやワンピースが完成する企画を打ち出した。
ビー・フリーは、別注対応でこだわりの素材を開発し、販売している。マス見本だけでなく、3~5メートルの見本を多色で揃え、ジャカードや先染めなどの意匠ものを中心にアパレルメーカーに提案している。
糸使い、質感、柄、意匠、色など、ブランドの要望に徹底して応える。個性ある素材だけに、他のブランドには使用せず、結果としてブランドのオリジナル性を高めている。
天然繊維を中心とした意匠素材を手掛けるクロスジャパンも、1素材の中で1メートルずつ色を変えて見本反を提案している。アパレルブランドのオリジナル素材として打ち出せる対応を進めている。
機屋でも生地のブランディングが進み、店頭での差別化に活用されるケースが増えてきた。合繊長繊維織物のケイテー・テクシーノは、自販ブランド「カンティアン」の下に六つのサブブランドを展開、立ち上げから約5シーズンで順調に拡大している。
ポリエステル100%に特化し、得意の糸加工と織りの工夫で差別化する。さらに染色加工との協業で起毛やビンテージ風仕上げなど製品のイメージに近づけて提案する。
経編みの川田ニッティンググループは、トリコットブランド「トコシエ」で、ウール混、綿混など従来の経編みのイメージから脱却した開発を進めている。ハリコシと適度なストレッチを併せ持つトリコットの良さが支持され、メンズ客で実績につながっている。