新型コロナによる出入国の制限が緩和され、ジュエリー市場でもインバウンド(訪日外国人)需要が回復している。海外へ進出する〝アウトバウンド〟の動きも活発化してきた。
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中国客に高い知名度
インバウンドは、都心部の百貨店ファッションジュエリー売り場の伸びが顕著だ。阪急うめだ本店の春夏(4~7月)は、売上高に占めるインバウンド比率が約15%。「供給が難しくなるのではと思うほど中国の方にパールが人気」(春花温子バイヤー)。日本ブランド「アガット」や円安を背景に「ティファニー」で高価格帯のブライダルリングを買いに来る層もいるという。伊勢丹新宿本店でも春夏は約15%。アガットや「アーカー」中心に、「カオル」など「日本のデザイナーブランドがいい」(山崎奈々恵バイヤー)。色石系が動くとの声も多い。
各店で名前の挙がるアガット、アーカーは中国本土にも店舗があり、知名度の高さが後押ししていると見られる。アガットを運営するサザビーリーグエーアンドエスカンパニーは、「東京都心部や大阪市中心部のインバウンド比率が多い店舗で3割を超える」と話す。ダイヤモンドネックレスやパール商材が動いているという。
ブライダル系も
アウトバウンドでは5月、プリモグローバルホールディングス(プリモHD)とスタージュエリーブティックスが共同で「スタージュエリー」の中国本土1号店を上海にオープンした。両社はスタージュエリーの海外展開に関する業務提携契約を締結。中華圏で「アイプリモ」の店舗網やノウハウを持つプリモHDが運営を担う。1号店は「当初計画を上回る業績で推移中」(プリモHD)だ。
ブライダルリング専門店「イズ」を運営するアーツアンドクラフツも昨年11月に海外1号店のシンガポール店を出したのに続き、今年5月に台湾へ出店した。このほか、「26年をめどに海外出店すべく準備中」とするのがアクセサリー「ルナアース」を運営するエンドレス。既に外国籍の人材採用を始めた。
ブライダルでは、少子高齢化で国内需要の減速が見込まれるなか、新たな販路を開拓する狙いがある。ファッションジュエリーやアクセサリーでは、市場が未成熟な国が多く、日本ブランドのデザインや品質に優位性があると見る。コロナ禍の沈静化で、今後も海外進出を狙うブランドは増えそうだ。