有力百貨店のジュエリー・アクセサリー売り場担当に聞く シーズン通して売り場活性化

2023/08/21 06:29 更新有料会員限定


 有力百貨店のファッションジュエリー・アクセサリー担当バイヤーに、秋冬からクリスマスにかけての商況見込みや施策を尋ねた。共通するのは、かつてのようなクリスマスギフト一極集中のMDではなく、自家需要に重点を置きながら、シーズン全体で売り上げを確保しようとの考えだ。様々な切り口の施策を複数打ち、新規客獲得にもつなげつつ、盛り上がりの山を複数作っていく。市場動向としては、行動制限が無くなったとはいえ、インバウンド(訪日外国人)を除いては客数の大幅増はそれほど期待しないとの声が多数。価格改定も背景にした単価増と緩やかな客足の戻りで前年を上回るとの見込みだ。

(中村維)

ファションを楽しむジュエリーを

伊勢丹新宿本店 山崎奈々恵さん

山崎奈々恵さん(第2MDグループ新宿宝飾時計・雑貨商品部 装身具バイヤー)

 昨年度まではラグジュアリーの大幅伸長が目立ったが、今春夏は国内ブランドやデザイナーズも復調し、全体に好調だった。3~7月は前年比2ケタ増だった。8月は夏休みムードで低単価品が動くものの、7月までは客単価の伸びが売り上げをけん引。客数増はインバウンドも大きい。行動制限が無くなり、旅行に出る方がいる一方、地方からの来店も増えている。

 秋冬も好調な流れが続くと見て、自家需要中心に伸ばしたい。ブライダルは、コロナ下は挙式や新婚旅行ができない分、エンゲージリングに投資する動きがあり、ラグジュアリー中心に伸びた。今後、式も旅行もOKとなると予算配分が変わるとの仮説がある。少し下の価格帯や国内ブランドの需要も増えるのでは。多様な客層に接する売り場なので、ブランド、デザイン、価格の幅を持たせ、欲しいものを買える状態を作りたい。

 シーズン提案は、時期により狙いと目的を分ける。8月末と11月にはカタログ「アクセリウム」を発刊するが、8月号はファッションを楽しむジュエリーに重点を置き、洋服や雑貨と組み合わせ、テイスト別に編集する。11月号はごほうびクリスマス。ギフトはもちろん、ボーナス時期でもあるので、大人の女性がごほうびを買うなら伊勢丹へと感じてもらえる内容を予定する。12月はクリスマスに向けて体制を整えて行く。

ウェアなどとのコーディネートに重点を置いた「アクセリウム」

 なお、アクセリウムは紙とウェブ版両方準備し、ECとも連動。デジタル周りではインスタ経由でインパクトジュエリーなどトレンドアイテムのコーディネート提案を強化する。アプリ上では、ショップニュースや、ブランドの世界観をテキストとビジュアル双方で伝えていく。独自目線での編集もキーとなる。春夏はブレス、バングルの集積を作った。秋冬は、ジュエリーボックスなど、ジュエリー周りのアイテムを編集するのも面白いなと。国内随一のブランド数を揃える伊勢丹だからこそできる企画で、買いまわりの楽しさを提供していきたい。

【データ】

平均客単価 5万円前後(FJのみ)
好調ブランド 「ヴァンドーム青山」「スタージュエリー」「マリハ」「シンカイ」
注目アイテム リングの重ね付け、ボリュームリング、ロングネックレス

カスタイマイズ企画で来店促進

そごう・西武 鈴木めぐみさん

この記事は有料会員限定記事です。繊研電子版をご契約すると続きを読むことができます。

ログイン契約して読む

会員の方はこちらからログイン

関連キーワード電子版購読者限定ピックアップニュース



この記事に関連する記事