【JFW-JC2020、PTJ20秋冬】蓄積から新たな価値生む

2019/11/20 06:29 更新


 JFWジャパン・クリエーション2020、プレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)20年秋冬は、培ってきた技術を異なる用途に生かしたり、使う素材やブランディングを変えて新たな価値を加える動きが目立った。出展企業380社の新作から、注目を集めた生地を紹介する。

【羽田】肌触りでもウールらしく

 今回は、製品に分けて提案。ポリエステルタスラン糸使い「ラルジュ」から、レーヨン混のような見た目のウール調ポリエステルツイルを製品サンプルで打ち出す。新たに緯糸でストレッチ性を付与した。適度なハリ感があり、シルエットをきれいに出せる。糸加工で肌触りにもウールらしさを追求した。セットアップやオフィスユニフォーム向けに推す。

【岐阜化繊工業】不織布と別生地組み合わせ

 不織布加工技術を使い、既存の不織布に、織物や編物を組み合わせてニードルパンチによって1枚の生地にした「クリサンセマム」を打ち出した。秋冬向けの厚地や縁を縫製しない切りっぱなしなどで紹介。売れ残りの生地や在庫の生地を新たな素材として再生することもできるとしている。カーテン用レースや和紙使いも提案した。製造法で特許を出願している。


【岡山県織物染色工業協同組合】安心安全の「倉敷染」

 加盟企業6社が参加し、環境に配慮した安心安全の染色ブランド「倉敷染」を打ち出した。グローバルSPA(製造小売業)などが加盟している国際団体、ZDHCの安全性基準を採用した繊維加工の安全認定で、アパレルにも広がりつつある。倉敷染の基準を満たしたビンテージ加工ジーンズやユニフォーム、オーガニックコットン使いの生地などバリエーションを見せた。


【御幸毛織】毛織物メーカー発のデニム

 ウール100%のデニム「デニック」を訴求した。経糸に使う色糸、緯糸に使うさらし糸をオリジナルで開発。色糸は、顧客のニーズによって色を変えることが可能だ。ドレス志向の毛織物メーカーらしい、セットアップ向けに適したデニムとして推す。毛織物らしいジャカード織物の耳や、デニムのセルビッジ使いも提案している。


【高島晒協業組合】高島ちぢみを刷新

 地域ブランド「高島ちぢみ」を刷新し、開発素材11マークを発信した。滋賀・高島産地内で撚糸から染色加工まで完結し、未加工品に比べて23%以上縮むことなどを新基準に設けた。綿100%で打ち込みの密度を高めたタイプ、しなやかな風合いの綿・「テンセル」混などがある。綿と防縮ウールの複合織物は吸放湿性があり、しっかりした手持ち感が特徴。


【岡田織物】ウールボアに引き合い

 フレンチメリノのウールボアは、フランス・アルル地方で食肉用途に生育された羊を使ったもの。繊維長が短いものの、スポンジのような膨らみと高い反発性があり、フェイクファー用途には最適。毛の高い密度も特徴で、ストレッチボアに仕立てても毛抜けが少ない。同社はサステイナブル(持続可能な)ニーズに対応し、ポリ乳酸使いのフェイクファーも開発中だ。


【アゲハラベルベット】手仕事感高めて復刻

 専業メーカーとして、様々な表情のベルベットを揃える。今回は縦絞り加工を復活させ、ビンテージ感たっぷりのベルベットを作った。10年以上前に生産を止めていたが、顧客からの要望を受け、手法も機械も新たに開発。従来品より、しわの方向や大きさが不規則になり、ナチュラル感が増した。品の良さと手仕事風の温かみを併せ持ち、スカートやワンピースに向く。




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