SC協会が「売り上げ報告の効率化」へ提言 課題の整理や事例も

2022/08/16 06:27 更新


 日本ショッピングセンター協会(SC協会)は、「売上報告の効率化に向けた提言」を発表した。テナント、ディべロッパー双方から、売り上げ報告業務の効率化を求める声が多いことを受け、デジタルトランスフォーメーション(DX)委員会で議論し、整理した課題と効率化の事例を「提言」としてまとめた。

(有井学)

 売り上げ報告は毎日の営業終了後に、テナントがディベロッパーに対してその日の売上高を報告する業務。報告内容はディベロッパーによって違いはあるが、現金、クレジットカード、商品券などの金種別の売上高や、売り上げから控除する費目の取扱額、客数や免税売上高など多岐にわたる。

 提言書では、売り上げ報告に関して「合理的な見直しの議論が十分されてきたとは言い難く、報告するテナント従業員や報告内容を精査するディベロッパー従業員双方への大きな負担が続いてきた」とした上で、テナント側、ディベロッパー側それぞれの課題を整理した。

 テナントの課題では、客が現金以外で決済した際に、従業員がテナントのレジで商品をスキャン後、ディベロッパーの決済端末に決済金額の手入力が必要となるなどの「レジ決済時の二度打ち」や紙金券類の集計、その日の売り上げ情報が集約された精算レシートをディベロッパーへの報告項目に読み替える作業、決済手段の多様化による報告項目の増加、ディベロッパー間による報告項目や報告方法の差異を挙げた。

 ディベロッパーの課題では報告内容の照合作業に関わる要員不足、証憑(しょうひょう=取引が完了したことを証明する書類)の管理コストを挙げた。

 それぞれの課題の要因は「テナントの環境とディベロッパーの環境との機械的連携不足、各社各様の報告ルールなど多岐にわたる」とし、「これらは双方の業務や働き方に深く根付くもので、課題解決の優先度は高い」とした。

 効率化の事例では、レジとクレジットカード決済端末の連携や、精算レシートをスマートフォンのカメラやスキャナーで読み取り、ディベロッパーの報告項目への読み替え作業を機械化するOCR技術の活用、日報作成を不要としたり、誤請求などの連絡を翌日にするなどのディベロッパーによる運用ルールの見直しなどを挙げた。

 SC協会は「提言書で挙げた事例を参考にし、課題解決につなげてほしい」としている。DX委員会では今後も議論を継続し、決済や売り上げ報告に関するシステムを提供している各企業と意見交換を進めた上で、「新たなデジタル技術をベースとした売り上げ報告業務フローモデルを検討する」予定だ。



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