化繊協会 カーボンニュートラル実現へ 〝守りと攻め〟で

2021/11/01 06:27 更新


 日本化学繊維協会は50年のカーボンニュートラル実現へ向けた取り組みをまとめた。国内化繊産業の直近の二酸化炭素(CO2)排出量は年147万トンで、大半を占める自家発電の低炭素化や脱炭素化を進め、リサイクルやバイオマス繊維の普及、繊維to繊維リサイクル推進に取り組む。

(中村恵生)

 パリ協定や政府のカーボンニュートラル宣言を受け、協会としての方針を作成、10月29日に開いた第700回本委員会で確認した。「『守り』と『攻め』の両面で実現に取り組む」とし、①燃料転換②再生可能エネルギーや革新的省エネ・CO2排出削減技術活用③プロセス高度化といった〝守り〟と、①リサイクル繊維やバイオマス繊維の開発・拡大②軽量、長寿命、高効率化を実現する製品③再生可能エネルギーや新エネルギーに寄与する製品提供――といった〝攻め〟を推進する。

 化繊産業のCO2排出は、エネルギー原単位当たりの排出を抑えてきたのに加え、生産量も年々減り、90年の435万トンから、19年には146.6万トンまで減少、産業全体に占める排出割合は約0.3%となっている。

 カーボンニュートラルの算出対象となるスコープ1(直接排出)とスコープ2(間接排出)の割合は83%と17%で、大半は自家発電によるもの。「石炭をガス化するだけでも大きな削減が可能。将来は水素発電への転換や、外部調達など各社さまざまなルートが考えられる」(富吉賢一専任副会長)。対象に含まないスコープ3(サプライチェーンでの排出)についても、リサイクルやバイオマス繊維の開発、推進、標準化確立へ各委員会で取り組む。

 また政府に対し、産官民一体の「繊維to繊維リサイクル」実現の検討を求め、「多大なコストや回収の仕組み整備へ、税制、補助金など支援を期待したい」という。リサイクル繊維、バイオマス繊維の表示・認証制度や、設備導入支援なども要望していく。



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