アパ工研セミナー「新JIS衣料サイズと今後の課題」 成人女子の実用的な体形区分や男女兼用サイズ表の検討を

2023/04/24 06:25 更新


 日本アパレル工業技術研究会がセミナーを開き、JIS(日本産業規格)衣料サイズ原案作成委員会分科会委員長を務めた大塚美智子日本女子大学名誉教授が「新JIS衣料サイズと今後の課題」について講演した。JIAM2022実行委員会副実行委員長の中村宏JUKI顧問は同展の技術動向について報告した。

 新JISは、旧JISが20年以上前の古い体形データに基づいており、市場の変化と国際規格との整合も図るために改正が検討され、3月20日公示された。改正のポイントは①サイズ設定は変更せず②成人女子の身長区分は変えず体形区分は削除③男女兼用サイズを追加④SMLサイズを拡張――の四つだ。

 成人女子のA・AB・B・Y体形の体形区分は企業ヒアリングでは、一部を除き利用されていなかったため削除された。しかし大塚氏は、体形は多様であり成人男子や海外の体形区分を参考に「時間をかけ実用的な体形区分を検討すべき」という。また業界へのリサーチでは、身長ピッチは「成人女子の8センチではフィット性が担保されない」「成人男子の5センチに合わせるべき」という意見が多く出されており、これも今後の検討課題という。

 男女統一のサイズピッチの要望は、男女兼用サイズの検討に反映し、成人男子・女子それぞれに男女共通サイズを追加した。基本寸法は記載せず製造業者が許容範囲とする値を表示することとしており、市場動向を踏まえたサイズ表の検討も課題という。

 中村氏はJIAM2022の展示から技術動向について報告した。ポイントは①デジタル化②ネットワーク化③ノンアパレル化――の3点だ。JUKIが出展した独立6輪駆動送り機構を備えたデジタルミシン「TK-01」は、熟練のオペレーターの技術をデジタル技術で代替し、手放しでも縫製可能だ。制御情報をCAD(コンピューターによる設計)システムから直接入力する。日本縫製機械工業会が23年度、CADとデジタルミシンをつなぐための共通フォーマット策定に取り組むイノベーション戦略事業を実施することも紹介された。

 ネットワーク化では、JUKIの設備稼働管理システム「JaNets」。デジタルゲートウェイを取り付けるだけで、アナログミシンもネットワークに接続でき、リアルタイムで稼働状況を把握できる。既に広く世界で利用されている。また、ミシン点検サポートシステム「ShuHaRi」はスマートフォンアプリから各ミシンの日常点検のデータをクラウドに蓄積し一元管理する。作業手順をナビゲートしてくれ、修理に必要なパーツの見積もり機能もある。

 市場を反映しノンアパレル化も進む。ブラザー工業の出展は、エアバッグ自動縫製を柱の一つに据えた。一方、JUKIと三菱電機グループが23年7月設立したノンアパレル用ミシン事業を統合したJUKIテクノソリューションズの製品も出展された。

 24年開催予定のJIAM2024では、これらの流れがさらに強まると中村氏はみている。



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