ヨーカ堂「アンドスタンダード」 商品、売り方変え30代へ

2022/09/08 06:26 更新


各店に30平方メートル前後の定位置コーナーを設ける

 雑誌の企画力を活用して商品を変える、男女、年齢、服種での分類を基本とする売り場にテーマによる集積を設ける、機会ロスを恐れず売り切り御免で変化を優先する――イトーヨーカ堂は宝島社と協業した新ブランド「アンドスタンダード」で新たな発想を打ち出し、課題としている30代を売り場に呼び込もうとしている。

宝島社編集部と協業

 同ブランドは宝島社の雑誌『モノマックス』『スプリング』編集部と協業したもの。機能や品質に偏ったヨーカ堂の商品開発に感性を加えるとともに、9月発売の第1弾で〝ポケットがいっぱい〟〝たたんでコンパクト〟と日常生活の課題を解決するテーマを打ち出している。ヨーカ堂の商品部と宝島社の編集部が時間をかけてディスカッションしながらテーマを設定、商品に落とし込んでいる。かばんを持たずにすむジャケット(メンズ税込み9889円、レディス6589円)などを用意した。

 宝島社にとっても雑誌のイメージというよりも暮らしの中の課題を探る新たな取り組みとなったが、付録作りなどで培った企画力を生かしているという。

 商品を扱うヨーカ堂各店では30平方㍍前後のメンズ、レディスを揃えるアンドスタンダード専用のコーナーを設けた。売り場作りについても宝島社がサポート、セルフ販売でも機能が伝わる工夫をしている。性別などで分かれるヨーカ堂の衣料品売り場の中では珍しい存在だが、男女あるいは服種で分けてしまってはテーマが埋没してしまうことからまとめることにした。

売り場を変え続け

 さらに10月には第2弾〝ペットの毛だらけの件〟として、ペットの毛が付きにくかったり、目立たない商品を発売する予定だ。「できるだけ毎月新商品を出したい」(神戸智子ヨーカ堂ライフスタイル事業部シニアマーチャンダイザー)として、新たなテーマに基づく新商品を連打することにしている。当面は定番を持たず、多く作って在庫を抱えるよりも新商品投入で売り場が変化を続けることを想定する。食料品売り場を持つことから頻度高く来店している30代へ常に目新しい売り場を提供しようというものだ。

 立ち上がりは売り場でボリュームを出すために2テーマを設定、アウター、インナーとバッグの18種類を用意した。ヨーカ堂97店と「イトーヨーカドーネット通販」で扱うが、宝島社の雑誌による発信で認知度向上を目指す。次回以降は1テーマで10種類前後の商品を投入することを予定している。生活雑貨などに分野を広げることも想定する。

 ヨーカ堂の衣料品は構造改革として売り場の縮減が続いてきた。商品開発も環境保全型に限られる状況だったが、コロナ禍からの回復が見込まれるところで客層を広げる新商品を打ち出すことになった。



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