伊藤忠商事など3社 伊で副資材を展開 原料にリサイクルナイロン 欧州ブランド狙う

2022/02/24 06:26 更新


「ナチュロン・ウィズ・エコニール」として23年春夏のアイテム向けに販売する

 伊藤忠商事とYKKイタリア、伊アクアフィルの3社は、ファッション製品に使用するファスナーやボタンなどの副資材でリサイクルナイロンを原材料とした製品を開発することで合意した。YKKの環境配慮型商品「ナチュロン」シリーズの一環として、アクアフィルのリサイクルナイロン「エコニール」を使用した製品「ナチュロン・メイド・ウィズ・エコニール」としてYKKイタリアが販売する。23年春夏のアイテムに向けて、22年3月から主に欧州ファッションブランド市場を中心に販売をスタートする。

(北川民夫)

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 世界的な環境意識の高まりを背景に、リサイクル原料に対する需要はファッション業界でも年々高まっている。

 伊藤忠商事は「大手ファッションブランドを中心に、衣類やかばんなどの生地としてエコニールの素材採用が進展している」としている。既存のファッション製品は複数の異なる原材料が使用されているため、回収時の素材ごとの分別が容易ではなく、リサイクルする上での大きな課題となっている。このような環境の中で、リサイクル比率向上に向けて、最初からリサイクルを前提に単一の原材料をベースに製品を製造する「モノマテリアル化」という概念が注目されている。ファッション業界で幅広くモノマテリアル化を実現するために「ファスナーやボタン等の副資材も含めた原材料の統一化が重要な要素になる」(伊藤忠商事)としている。

 当面はナチュロン・メイド・ウィズ・エコニールをYKKイタリアで生産し、欧州地域を中心とした販売をYKKイタリアが行う。

 伊藤忠商事はYKKイタリアへのエコニールの安定供給や、商品のプロモーション、ナイロン廃棄物の回収などに取り組み、ナイロンリサイクルビジネスの拡大を目指す構えだ。

 伊藤忠商事は21年2月に、エコニールを生産・販売するアクアフィルとナイロン循環リサイクル事業の推進、拡大で業務提携している。ナイロン廃棄物の回収から再生ナイロンを原料とした最終製品の開発・販売で協業している。アクアフィルは独自技術でナイロン廃棄物をケミカルリサイクルによって、粗原料であるCPL(カプロラクタム)まで戻し、不純物などを完全に除去。バージン材と同等品質で再利用できる循環リサイクルシステムを構築している。

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