伊藤忠商事は2日、18~20年度を対象とした3カ年の中期経営計画を発表した。同社は18年3月期で史上最高益を達成するなど業績好調だが、「創業160年の歴史の中で第二の創業ともいうべき局面を迎えようとしている」と分析。背景にあるのは、急速に進む技術革新や人々の価値観や生活環境の変化で、新たな中計では、「新技術を大胆に取り込み、総合商社の新たな形に進化させる」方針だ。
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同社の18年3月期の連結純利益(IFRS)は初の4000億円台となる4003億円。17年3月期に続いて史上最高益を達成した。前の中計で基本方針としていた「純利益4000億円に向けた収益基盤構築」を実現。19年3月期もさらに収益を拡大し、純利益4500億円を計画している。
とはいえ、岡藤正広会長CEO(最高経営責任者)は以前から、「浮かれている場合ではない。今の成功をゼロと考えて、商社の新しいビジネスモデルを作らないといけない」と危機感を表明しており、新中計でも具体的な数値目標よりも、次世代ビジネスを推進する上での基本方針に重きを置いた形となっている。
新中計でステートメントとするのは「いざ、次世代商人へ」というもので、自らを「人々の豊かな営みに根ざした身近な商人」とする伊藤忠が、新技術や新しいパートナーとの取り組みによってビジネスモデルを進化させる「商いの次世代化」に取り組む。加えて、高い生産性と品質で付加価値を創出する「働き方の次世代化」を推進し、次世代商人へと進化させる。
商いの次世代化として想定するのが、子会社化する方針を示したユニー・ファミリーマート・ホールディングス(HD)を起点とするバリューチェーンの価値向上や戦略的パートナーとの連携に基づく、中国・アジアでのビジネス創出の加速など。商いの次世代化は全てのカンパニーが対象で、新技術の活用を全社で積極化させる。特に伊藤忠が強みとする生活消費分野では、流通システムのスマート化や新たなリテール提案も計画し、異業種・ベンチャー企業とのオープンな連携も重視する。