伊藤忠商事の「フィラ」事業は19年度(1~12月)、310億円を超えた。若年層をターゲットにしたブランドプロモーションや商品企画を継続し、着実に顧客を獲得してきたことが持続的な成長につながった。最近はストリートやスポーツなどのトレンドがブランドストーリーと重なって販促効果を高め、売れ行きに貢献している。
【関連記事】伊藤忠の岡藤会長CEO「19年は10年間で最も輝いた1年」
同ブランド事業は、18年度に過去最高の270億円(前年比15%増)となった。19年度の上半期は22%増で推移して好調を持続し、年間を通しても16%増だった。「春夏の売り上げが大きく、秋冬の重衣料の販売動向に業績が左右されにくい」という。近年は秋冬物の販売期間が短くなっているため、「上半期に伸ばせる余地はまだある」と見ている。
アイテム別には、アパレルが全般的に良く、特に子供服が好調だ。グローバルで重点の靴は、トレンドのダッドシューズとしても注目された「ディスラプター」が引き続き売れている。サブライセンシーは16社20アイテム。昨夏にスマートフォンケースが増えた。
東京(渋谷、上野)、神奈川(横浜ビブレ)、福岡(キャナルシティ博多)のブランドショップや、専門店などの卸先の売れ行きも堅調だった。4月には沖縄の商業施設に5店目のブランドショップをオープンする予定だ。
販路の多様化を狙い、2月末から6月上旬まで主要都市11カ所で感度の高い「ヘリテージライン」の期間限定店を順次開く。大阪の阪急うめだ本店、ルクアイーレを皮切りに東京、名古屋、福岡でも予定する。
伊藤忠は06年にフィラの日本でのマスターライセンス権を取得、若年層に照準を合わせたリブランディングに着手した。ファッションのイメージを前面に出すプロモーションの比重を高め、おしゃれに関心のある10~20代の客層を拡大してきた。最近は改めてブランドの源流であるスポーツ市場を開拓中だ。テニスの「楽天ジャパンオープン」「東レパンパシフィックオープンテニス」の大会スポンサーなどを務め、ファッション感度の高いスポーツブランドとして打ち出している。