デング熱背景に虫よけ製品が急拡大

2015/04/10 05:44 更新


インセクトシールドジャパン(松永孝治社長)が国内で独占販売する、蚊やダニなどの虫よけ加工繊維製品「インセクトシールド」が売れている。1~3月の売上高は、14年年間の2倍以上となった。安全で効果が高く、国内のデング熱の感染拡大を機に関心が高まっているためで、4月から専門店や百貨店のガーデニングやアウトドア、旅行、介護、子供服、ペット売り場などに一気に広がる。

 この製品は、米インセクトシールドが開発、販売する。キク科の植物に含まれる天然の防虫成分を人工的に再現した薬剤「ペルメトリン」を繊維製品に接着させた。安全性、効果と持続性、環境配慮の面で優れ、厳しい認定基準を持つ米国環境保護庁(EPA)の防虫衣料、ギアのカテゴリーで登録認証を受けている。蚊やダニ、アリ、ハエなどの小さな不快害虫に効果がある。

 インセクトシールドジャパンは、日本市場に適したオリジナルの衣服や服飾雑貨を作り、百貨店や専門店へ販売したり、国内のアパレルメーカーや専門店のOEM(相手先ブランドによる生産)をしている。生地に無駄が出ないよう、加工は製品に施している。OEMでは、素材選びや製品デザインなど同社が企画初期から携わる場合と、製品加工のみの場合がある。一部分野では他のメーカーにライセンスを与えている。

 薬剤は殺虫剤ではなく、虫が嫌がる忌避成分であり、ごく少量(繊維重量の0・52%)を加工する。この加工が他社にない独自技術で、繊維にナノレベルで付着した薬剤の結晶が振動を発し、節足昆虫の足の受容体に神経毒として働くため、虫を近づけない仕組み。破れた衣類やメッシュでも効果がある。赤ちゃんや妊婦の服にも使える。効果は数年間持続し、洗濯70回以上でも高い効果がある。

 米インセクトシールドは、北米や南米700社以上へ販売している。今後は、蚊やダニが媒介する感染症の多いアジアやアフリカへ拡販を図る。加工工場は中国(操業は09年から)とベトナム(同14年)にあり、今年はブラジルも稼働予定。



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