リアルがノスタルジック!?(宇佐美浩子)

2022/08/26 06:00 更新


2022年の夏ともお別れの季節となり、心なしかメランコリックな気分…(とは筆者だけ?)

そこで今回の「CINEMATIC JOURNEY」は、そんな空気感に包まれる中で、ほんわかとヒューマンな温もりをまとう「リアルがノスタルジック!?」な作品と共に旅をしたく!

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それでは早速、『サハラのカフェのマリカ』から。

アルジェリアの新鋭と注目を集める本作監督、ハッセン・フェルハーニいわく「サハラ砂漠の逆説的なロードムービー」 (※左記ならびに以下2件すべて本作資料より)を始め、下記いくつかの「KEY」コメントからもワクワク感が立ち込めるストーリー。その要となるヒロインこそ、世界最大規模と称されるアフリカ北部の大地に実在する名店の主、マリカだ。

「ロードムービーという魅力的なジャンルにも挑戦してみたい」

そう思っていた監督が、何度も旅を重ねる中で「砂漠の蜃気楼のごとく」出会ったのが彼女だったというのだから、夢は必ず実現するためにあるに違いないと信じたくなる。


「彼女のカフェに足を踏み入れた瞬間、私の映画はここにあると確信した」

こうして始まった本作。人生の円熟味を増した風貌が印象的な彼女の存在感と、言い知れぬ包容力が吸引力となり、道行く人々がふらりと立ち寄っては、一期一会となりうる会話を交え、ゆるりとしたカフェタイムを過ごしていく。

「お互いを知らないからこそ語りあえる」いわば人々の心のオアシスでもあるのでは…

そんな温もり感が、いまを生きる私たちにとって懐かしくなりつつあるのかもしれない。


サハラのカフェのマリカ

8月26日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
© 143 rue du désert Hassen Ferhani Centrale Électrique -Allers Retours Films


「リアルがノスタルジック!?」をテーマに、ヒューマンな温もりを届けてくれる作品と旅する今回の「CINEMATIC JOURNEY」。サハラのカフェとの出会い風に、東京・中目黒周辺のシンボルともいうべき、目黒川沿い散歩で出くわしたプチノスタルジックなカフェにて、リアルな体感をシェア!


ホテルショコラというネーミングも気になり、足を踏み入れた店内は、天井に設えたクラシックな扇風機をはじめ、随所にタイムレスな香りが漂う時空間が広がり、目の前の目黒川と共鳴するかのよう。

「私たちのチョコレートを通じて、まるでホテルで過ごす時間のような満ち足りた気分や非日常の高揚感を味わって頂きたい」

そんな思いが込められた、ロンドン生まれのカカオライフスタイルブランドのカフェと聞けば納得する。思えば、当ブランドのチョコレートやショコラドリンクを口にしたことがある!そんなオイシイ記憶がよみがえった瞬間でもあった。

よって当カフェでも、こだわりの自社農園のカカオを用いたオリジナルレシピのカカオ料理やアルコールも味わえ、カカオにまつわるショートトリップを体感できそう。

それでは再び、シネマの旅へ…


「リアルがノスタルジック!?」をテーマに、ヒューマンな温もりを届けてくれる作品と旅する今回の「CINEMATIC JOURNEY」。フィナーレを飾るのは、音楽から学ぶ処世術とでもいうべき『異動辞令は音楽隊!』

刑事歴30年の本作主人公を演じる阿部寛と母親役の倍賞美津子のほほ笑ましい上記1ショット。ノスタルジック感満載のインテリアとファッションが誘う「刑事もの×音楽映画」

その始まりは、原案・脚本も務める内田英治監督がYouTubeで偶然目にした1本のフラッシュモブ映像に感銘を受けたことだそう。

それはまさしく本作同様、警察音楽隊によるジャズのスタンダードナンバーを奏でる映像だったとか。


思いもよらぬストーリー展開に、時に憤り、感涙したくなる本作の主軸となるのは、タイトルにもなっている音楽隊の心と音色が奏でるハーモニーにある。

そこには、誰かがミスしてもカバーする温かなチーム力の存在と、リアルに耳を傾けてくれる人々にエネルギーチャージなんていうことも...

そして驚くべきは、「演奏シーンの演技の吹替は一切なし」というフレーズだ。阿部さんを筆頭に、誰もが必死に練習を重ねた末の成果を、是非ともスクリーンで鑑賞してほしい。

また数ある演奏シーンの中でも、ラストの演奏会のシーンは要チェック。

「IN THE MOOD」の演奏に、本作の主題歌「Choral A」を担当した「Official髭男dism」のメンバーの一人で、かつて島根県警察音楽隊でサックスを担当していた楢﨑誠の姿がどこかに!


異動辞令は音楽隊!

8月26日全国公開
©2022 『異動辞令は音楽隊!』製作委員会


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うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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