世界中で開催されるいくつもの映画祭の中でも、カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭と並ぶ世界三大映画祭のひとつ、かつまた世界最古の歴史を持つ映画祭と称されるヴェネツィア国際映画祭が、今年も9月1日より開催され、スタイリッシュなファッションやトピックスなど、未だその余韻が…
その一つとなるのが、世界有数のラグジュアリーメゾン「カルティエ」が、2021年からヴェネツィア・ビエンナーレと提携し、現代映画制作の支援に共同で取り組むべく、優れた映画製作者に敬意を表し「Cartier Glory to the Filmmaker Award」を創設。
初の受賞者は、イギリスのリドリー・スコット監督だった。
そしてさらにもう一つ!
当映画祭にて、現地時間9月3日に記者会見とワールドプレミアが実施された注目作『DUNE/デューン 砂の惑星』。
その主人公を演じた「新時代を背負う“プリンス・オブ・ハリウッド”」こと、ティモシー・シャラメがカルティエの「フレンド オブ メゾン」に加わり、今後様々な取り組みをメゾンと共に行っていくという。
今や世界が注目する彼の作品※を、初期の頃より随時アップデートしている筆者としても、昨今の活躍ぶりは嬉しい限り。
というわけで、10月最初の「CINEMATIC JOURNEY」は、「有名メゾン×映画の世界」をテーマに、いよいよ待望の日本公開となる『DUNE/デューン 砂の惑星』から。
クリエイターが意図した質の映像と音響が劇場で変換することなく再現可能にした、世界初!究極の映画体験「Filmed For IMAX®」認定作品という本作。
その内容もまた未来型シネマ・エクスペリエンスと称したい。そこでほんの少しだけ、ストーリーをここにシェアしたく。
時は10191年。
シャラメ演じる主人公ポール・アトレイディスは、「未来を視る」予知能力を持つ青年。彼とその一族は、宇宙帝国の皇帝からの命令で「砂の惑星/デューン」へ移住する。だが、そこには思わぬ罠が潜んでいた。
父を殺され、全宇宙から命を狙われる存在になった彼等一族。そのリーダー格となった彼は、全宇宙の未来に向け、母と共に挑むことに…
さて、そんな未来を演出する衣装にはどんなこだわりが?と思いつつリサーチしてみた結果、本作資料にて興味深い内容を発見!
そこで、その一部をここに。
☑よくある未来的な要素は入れず、未来を表した衣装。
☑ゲーム映画ではなく、哲学的で心理的、かつ神秘的な物語。
☑監督は遊牧民や砂漠に住む人々、世界中のさまざまな砂漠、そして砂漠のなかで生き延びるための人々の服装について衣装担当に伝授。
☑保水スーツはヒトから出る水分を精製する機能スーツに見えることが絶対条件。
そしてシャラメ演じるポールの衣装はというと
☑常に『アラビアのロレンス』のロレンスを重ねていた。
着用者ことシャラメいわく;
❝冷酷で暗いイメージの衣装だけど、原作小説の息づかいや美学に忠実だと感じるんだ❞
そして最後に、前述の記者会見場で熱く語る監督の最も印象的なコメントを下記に;
❝本作を最大限没入感のある作品として設計するよう努めた。
ビッグスクリーンというのは、私にとって(映画の)言語の一部なんだ❞
10月15(金)全国公開
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
「有名メゾン×映画の世界」をテーマに旅する、10月最初の「CINEMATIC JOURNEY」。つづいては、現在公開中の『メインストリーム』にフォーカス。
映画界の名門、コッポラ・ファミリーの希望の星、ジア・コッポラ(フランシス・フォード・コッポラの孫、ソフィア・コッポラの姪)が監督&脚本を兼務した長編2作目が誕生した。
時代の気分満載の本作は、写真家、CMディレクター、MVの監督など、着実にキャリアを重ねている「彼女らしさ」が香るスパイスが随所に効いている。
そんな彼女の新作は、YouTuberの狂乱!?
夢を持ちながらもなかなか満たされない日々を過ごす男女3人が、動画制作をスタートしたのを機に、思いもかけずなんとSNS界のスターダムへ…
という「リアル」な「今」という時代を映し出すストーリー展開だ。
監督同様、映画業界ファミリーの一人が本作のヒロインとして登場。あのイーサン・ホークとユマ・サーマンの娘、マヤ・ホーク。シンガー、そしてモデルの顔も持つ彼女らしく、ファッション・アイコン的存在としても知られている。
一方、監督とファッション業界の関係性は、言うまでもなくコッポラ・ファミリーらしいといえる。今回もそうそうたるブランド名がクレジットされていて、中でも「アレッサンドロ・ミケーレ」という名が目に焼き付いた。
ちなみに彼女はユナイテッドアローズのCMディレクターを務めた経験もあり、かつまたグッチの2016年Pre-Fallコレクションと関連した短編フィルムを発表し、話題を呼んだ。そんな彼女ならではの才能とネットワークの融合に、今後も注目したい。
『メインストリーム』
10月8日(金)より、新宿ピカデリー ほか全国ロードショー中
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2020 Eat Art, LLC All rights reserved.
さて、現在公開中の新感覚ドキュメンタリー映画『人と仕事』主人公の一人、志尊淳。
さりげない彼らしいスタイリングの中でも、象徴的に見えた1アイテムのキャップや、前述の作品とも縁あるブランド「グッチ」は、その誕生から今年で1世紀。
そこで創設100周年を祝して、ここ日本でもホットなニュースが目白押し。
例えば下記もその一つ。
今月末まで東京・天王洲にて開催中のエキシビション「Gucci Garden Archetypes(グッチ ガーデン アーキタイプ)展」。
さまざまなイメージの源となる存在(=元型)を表現する言葉「アーキタイプ」をタイトルに冠した本展は、様々な都市を旅するかのような没入感も魅力の一つだ。
そのキュレーターも兼務する当ブランドの顔ことクリエイティブ・ディレクター、アレッサンドロ・ミケーレのコメントがその全貌を表している。
❝この6年間の冒険に人々を誘い、空想の世界や物語、
驚きやまばゆいきらめきをめぐる旅をともにするのは、面白いことだと考えました。
そこで、広告キャンペーンの世界に入り込んだような
臨場感にあふれる遊びの空間を創ることにしました。
なぜなら広告キャンペーンは、私のイメージをもっとも明快に体現しているからです❞
そんな旅の伴をさせていただく中、筆者がしばしばグッチの広告キャンペーンの中に、シネマとの親和性を見つけては、ちょっと嬉しい気分になる。
ちなみに本展の中で、そんなシーンをいくつかの部屋で出くわせる。たとえば、上記画像の「Room3 Gucci Beauty Network 」。
ここでは、9月に発売になった新ライン「グッチ ビューティー」のリップスティックのビデオポスターが、私たちを架空のテレビ放送の世界へと誘ってくれる。「映画の中の歌姫の気分にさせてくれる」かも!?
最後に、本展の主人公がとある部屋で待ち受けているので、探してみて!
うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中