岡山駅の西側にある奉還町商店街が、柔軟な動きを見せて健闘している。若いオーナーによる店が増え、多彩なイベントも繰り出す。バブル崩壊後はいったん店の数が減少したが、現在の店舗数は90店近くと盛り返しているところだ。コロナ前と比べても減っておらず、最近も店舗数が増えている。
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商店街の周辺は大学が多く、学生の通学路にもなっているため、若いオーナーが運営するカフェの「オンサヤコーヒー」がオープンしてから、新しい店や若者が集まるようになった。「家賃や商店会費も高くない」(畝本伸三奉還町商店街振興組合理事長)ことも出店候補者にとって魅力だ。特に飲食店、古着店が以前よりも増えた。
22年はレディス古着店「チャッピー」がオープンした。また、商店街に隣接した場所に藍染め体験もできる服屋「スローサンライフ」ができた。同店を手掛けるうまの(岡山市)は、続いて23年7月、同商店街にお酒の飲めるカフェ「スローサンライフベース」も開設した。「ここは今後もっと面白くなる可能性がある」(馬野信吾代表)と期待する。
柔軟な連携により、様々なイベントも実施している。19年からは商店街にある古着店が中心となって古着イベント「古着LOVEフェスタ」を実現し、定期開催している。また、同年から一般社団法人日本マルチコプター協会と協力し、商店街の中でドローンレースを行うという珍しいイベントも開催している。
周辺施設との連携にも意欲的だ。14年12月に「イオンモール岡山」が開業する際には、連携協定を締結した。商店街の情報をイオンモールのデジタルサイネージで発信してもらうなど、互いの回遊性を高め、お客を共有する取り組みを進めている。
7月のイベント「サタデーナイトカーニバル」では、同商店街が主催となり、周辺の商店街や商業施設、岡山駅前広場も巻き込んで街としてのにぎわいを生み出している。
畝本伸三・奉還町商店街振興組合理事長 成功例を増やしたい
商店街は20、30代の店主を増やし、新陳代謝していかなければなくなってしまうのでは、と思います。若い店主の成功例を増やしていくことが大切です。そうすれば口コミで新たに若い店主候補がやって来ますし、若いお客さんの集客にもつながります。奉還町商店街はこの間、古着店が増えましたし、飲食店もまた増える兆しがあります。
実はここは、電子マネーやスマホ決済の導入が岡山でも一番早かった商店街です。奉還町商店街振興組合の若いメンバーの声を聞いて実現しました。これからももっと若い人の声に耳を傾け、時代のニーズに合った商店街の姿を目指します。
組合の体制についても、若返りを推進してきました。以前は青年部と理事会が別々に会議をしていましたが、今は共同で月例会議をしています。