90年代後半から00年代にかけて、本紙にストリートスナップの記事をたびたび掲載していました。30年近く前の、都会の一瞬を切り取っただけの記事ではありますが、その背景を店や企業に取材し、ときには売り上げなどの数字も入れていて、当時の商売の動きも少しわかります。“平成リバイバル”など様々なレトロが注目を集めている昨今、改めて読み返すことで、ビジネスに通じるヒントが見えてくるかもしれません。ベテラン記者が振り返ります。
※本文は読みやすく直しています。社名やブランド名などは原文のまま掲載します。
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パンツ異変 サルエル風のずるずるシルエット
2002年12月26日付

ストリートで見られるメンズのパンツが大きく変わってきた。ファイブポケットのジーンズにはいいかげん飽きた、というわけだ。極太のドカンパンツを〝腰パン〟でずるずるにはくのは当たり前。股のポイントが膝のあたりにあり、股上が非常に長くて大きいサルエル形のデニムパンツもブームになっている。
裏原では若い男性たちのほとんどが腰パン。防寒アウターを着るようになって、パンツの位置は一気に下がった。降ろせるところまでギリギリ降ろしてはくのが常識。これだけでもボトムのスタイリングに変化をつけられるが、さらに目に付くのは、腰パンをそのままデザインしたようなパンツ。まるで80年代のMCハマーといった感じだ。「腰周りが太くてテーパードのシルエットがいい」のだとか。手持ちの太パンツでこの形を完成させるため、ブーツやソックスの中に裾を押し込んでいる男性も多い。
彼らの話をたどっていくと、00年の春夏に販売された「リーバイスレッド」の「ジャイアン」が元ネタのようだ。これに似たリメイクジーンズを販売したショップもある。その形が今になってブームを巻き起こしているというわけだ。「腰パンは脚が短く見えてしまう。だったら、あり得ないくらい短く(股ポイントを下に)した方が面白い」という話も。ストリートで最も多く目に付くのは、「リアルマッド・ヘクティク」のサルサデニムのシリーズ。お尻の部分を切り替え、マチを入れた形などがある。
ハマーパンツとまではいかないが、腰を低く、わたりを太くという傾向は来春物で一層強まりそうだ。「マックダディ」は後ろのポケット位置を下にずらしたパンツ、「スワッガー」はワンサイズ分大きなサイジングでルーズ感を出したシリーズを用意している。ただ、テーパードや太くてずるずるのパンツが「果たして新しいのか古いのか、判断できない」という。
《記者メモ》
みんな足元にずり落ちてしまいそうな位置ではいて、出歩いていました。あれもファッション。不思議なものです。
今回をもってこの連載は終了します。ストリートに立って、一人ひとりを見て声をかけて話を聞いて書くのは、今思えばとても楽しい仕事でした。様々な事情から掲載を断念したスナップ記事も、たくさんありました。
(赤間りか)
=おわり
