ハリスツイード協会 誤った商標利用に歯止め

2017/02/24 06:41 更新


日本にアンバサダー設置

 地球をモチーフにしたオーブマークで知られる「ハリスツイード」。手織りの工程を経て作られる希少なツイードだが、日本市場では、同生地を少量使用した安価な製品が氾濫(はんらん)し、ブランド力の維持が危ぶまれている。ハリスツイード協会は、日本に初めてアンバサダーを設け、同ブランドの認証ラベルであるオーブマークの使用におけるガイドラインの順守を促す。

 ハリスツイードは、1909年に誕生した毛織物ブランド。ピュアバージンウールを原料に、スコットランドのアウターヘブリディーズ諸島で染色、紡績し、180人の島民が自宅で人力織機を使って手織りしている。

 ハリスツイードの15年の生産量は170万㍍で、うち、日本向けが60%を占めるという。ハリスツイード協会のローナ・マコーレー会長は「日本ほどハリスツイードのテクスチャーや色を気に入ってくれている市場はない。とても重要な市場」と強調する。

 日本市場が急拡大したのは、10年。オーブマークの制定100周年を記念して行ったイベントで人気に火がついたという。ウェアから雑貨まで用途が飛躍的に広がったが、同時に、バッグの外ポケットや靴のかかとといった一部分だけに生地を使用し、オーブマークをあしらった製品が数多く生産されるようになった。

 この事態に、ハリスツイード協会は15年、外側表面の半分以上に生地を使用したものだけにオーブマークを付与する〝50%ルール〟の徹底を業者に通達、16年には日本語のガイドラインを作成するなど対策を講じてきたが、基準を満たしていない製品はいまだ流通している。

 これを受けて21日、マコーレー会長が来日し、「生産背景や歴史、ガイドラインをエデュケーション(教育)する」ために、ハリスツイードを使用した製品を手掛けるアパレルメーカーや小売店を訪問した。加えて、「日本でブランド価値を伝える」アンバサダーとして、元英国貿易産業省エクスポートプロモーターのサリーム・ダロンヴィル氏を起用し、出先機関の新設を決定した。

 ダロンヴィル氏は近く、「ブランド教育と開発」に乗り出す。ガイドラインも、要旨をまとめたコンパクトなものに刷新する。一部基準を厳しく改変する予定だが、「ブランドイメージを守るために必要と、日本のユーザーは歓迎してくれている」という。このほか、ハリスツイードの生産背景を写真に収めた本の日本語版の製作や展示会の開催も視野に入れている。

「将来にわたってブランドを守るため」に来日したハリスツイード協会のローナ・マコーレー会長
「将来にわたってブランドを守るため」に来日したハリスツイード協会のローナ・マコーレー会長

 



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