ジーユーの柚木治社長は今後の事業戦略の中で、ECを強化するほか、海外出店を加速する方針を示した。
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◆ECは実店舗に劣らない利便性に
EC化率は現在5~6%。この数字は低いと思っています。一番の原因は店とECを併用するお客様が少ないことだと思っています。お客様の意識が「店で売り切れているから、ECで買えばいい」となっていません。今後は併用するお客様を増やすための戦略を取ります。
15日にオープンする横浜港北ノースポート・モール店には、ICタグを読み取るショッピングカート「オシャレナビ・カート」を導入します。カートに設置したモニターに商品を近付けると、商品情報だけでなく、店舗とECで扱う商品のサイズ・色別の在庫状況が表示されます。これによって、店には無いけれどECにはあるということが目に見えて分かるようになり、ECの利用率を上げていきます。
利便性も重要です。現在、ECで購入した商品がお客様の手元に届くのに2~5日程度かかります。水曜日に購入した場合、週末をまたいでしまう可能性があるんです。このように、ECの利便性が実店舗に劣後していては、実店舗の代替として不十分です。この負の部分を取り除かなければ、併用は増えていかないと思っています。
そこで今秋からは、まず関東地方の1都6県で翌日配送を開始します。また、ECはクレジットカード払いか代引き払いのみですが、コンビニエンスストアや郵便局、銀行などでの後払い決済も導入し、ECの利便性を高めます。
今後、世の中はますますECで洋服を買うようになっていきます。日本のEC化率は世界と比べてもまだまだ伸びる余地があります。当社も少なくとも30%までは上げられるのではないかと思っています。
◆ユニクロがある国すべてに出店
海外は日本のジーユーをそのまま持っていけば成功するほど甘くなく、これまでは地域に合ったMD、マーケティング、人材育成の三つに注力してきました。現地の時節や季節の違い、商品の売れ行きの傾向などがつかめてきましたし、店長も育ってきています。この三つが整ってきたので、いよいよ出店攻勢に出ようと思っています。
現在、中国、台湾、香港に出店しており、3月に2店オープンした香港は極めて好調です。中国4店、台湾8店の3カ国合計で14店を展開していますが、19年8月期までに50店まで拡大する計画です。今期(18年8月期)から中国、台湾で出店を加速し、東南アジアなどさらなる新規国にも出ていきます。将来的にはユニクロが出店しているすべての国に進出し、旗艦店同士を隣接出店できるようにブランド力を上げていきます。