政府、下請法を03年以来の改正へ 「下請」用語を変更 価格交渉の義務化など取引適正化

2024/12/17 15:10 更新NEW!


 政府は下請け取引適正化を目的とした下請代金支払遅延等防止法(下請法)を改正する。公正取引委員会と中小企業庁が7月に開始した有識者会議「企業取引研究会」の報告書案で方針を示した。下請事業者との価格交渉の親事業者への義務化や約束手形の廃止、適用基準の見直しなどのほか、法の名称を含め、「下請」という用語を変更する。報告書で示した内容を今後、法制化に向けて具体化し、「国会への早期提出を目指す」(亀井明紀公取委経済取引局取引部企業取引課課長)。下請法の改正は03年以来。

 報告書案は12月17日に開いた研究会の6回目の会議で示した。

 「適切な価格転嫁の環境整備」のため、現行法での禁止行為の規定に親事業者による下請代金の「買いたたき」とは別に、親事業者が下請事業者からの価格協議の申し出に応じなかったり、親事業者が必要な説明を行わないなど「一方的に下請代金を決定し、下請事業者の利益を不当に害する行為」を追加する。

 下請代金の支払い条件の適正化策として、紙の約束手形は「下請法の代金の支払い手段としての使用は認めない」とし、電子債権やファクタリングなども「支払い期日までに下請代金の満額の現金と引き換えることが困難なものは認めない」とした。振込手数料の下請事業者への負担行為に関しては運用基準を見直す。これまでは合意があれば認めていたが、案では合意の有無にかかわらず、違反行為とした。

 さらに、下請法の適用基準について、現行の資本金に「従業員数」を加える。親事業者が下請法の規制から逃れるため、下請事業者に対して取引継続の条件として増資を求めるケースが増えていることなどに対応する。今後、要件を具体化する。

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