【FB3社人事採用担当の座談会】好きを仕事にできる魅力

2020/02/24 06:28 更新


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 21年春卒業予定者の採用・就職活動(就活)が、3月1日に大手就職サイト採用ナビの情報開示を受けて本格化する。業界別や個別企業のプレ採用イベントの開催が年々活発になり、多くのイベントが集中するのが2月。各種プレイベントや3月からの説明会に学生が参加し、志望を絞り込み始める時期を前に、ファッションビジネス(FB)企業の採用担当者による座談会を開いた。集まったのはメンズの海外ライセンス、子供服、セレクト店などを軸に異なる分野を手掛ける3社。就活を始める学生の参考になるように、各社のキャリア形成の流れ、求める人材、採用活動で見るポイントなど具体的なアドバイスを聞いた。

【出席者】

  • ジョイックスコーポレーション 青山 満さん
  • ベイクルーズ 和田 万里花さん
  • ナルミヤ・インターナショナル 福西 隆志さん


(左から)福西さん、和田さん、青山さん

◇採用状況

――事業の特徴や直近の採用について教えて下さい。

 福西 0~15歳を対象に幅広い子供服を企画・生産し、百貨店からSC、ECまでマルチチャネルで販売する子供服アパレルです。「メゾピアノ」など歴史のあるブランドに加え、「プティマイン」「ラブトキシック」などSC向けが好調で、EC販売も伸びています。昨年からフォトスタジオ事業や海外展開も始め、好調に推移しています。

 採用では、今年の4月はデザイナー候補を含む総合職と、地域限定職の合計約60人が入社予定です。全員、販売職からスタートします。年々、増えている中国人など訪日外国人客に対応するため、外国人留学生の採用を昨春から始め、19年春は120人中8人、今春も1人採りました。21年春は未定です。

ナルミヤ・インターナショナル 福西 隆志さん
03年メンズアパレルに入り、販売職や法人営業、人事・採用などを担当。16年ナルミヤ・インターナショナルに移り、経営企画室でマネージャーとして採用を担当。

 和田 ファッションを軸に、衣食住を通して人生の楽しみを提供する企業です。60以上のブランドをもち、ファッションのほか、カフェなど飲食、家具・インテリア、フィットネスの4事業を手掛けています。

 採用はファッション部門で、19年春は130人、20年春は180人。企画デザイナー職は19年、20年とも2人、インフルエンサー選考は19年春が1人、20年春は3人で、残りは総合職です。21年春は企画職とインフルエンサー選考若干名を含め、150人を採用する予定です。将来のクリエイターを発掘するために、ファッションに対する圧倒的な熱量、違いを生み出す力を持つ人をインフルエンサーとして採用しています。入社時は販売職に配属しますが、1年目から出張に行かせたり、普通はできないことに挑戦させ、チャンスを多く与えています。

ベイクルーズ 和田 万里花さん
12年に新卒で入社、「ドゥーズィエムクラス」の新宿、青山、有楽町の3店で販売を担当し、15年からは店舗の管理職も兼務、17年に現在の部署に異動して採用PRディヴィジョン新卒採用PR担当。

 青山 海外デザイナーとのライセンス契約の7ブランドを扱うメンズアパレルです。「ポール・スミス」「ヴィヴィアン・ウエストウッド・マン」など英国ブランドを中心に、米国の「サイコバニー」も手掛けます。採用は、19年春は総合職が51人、社内で事務業務を行う一般職が2人、今春は総合職58人、一般職4人の予定です。21年春は全体で約60人になりそうです。

ジョイックスコーポレーション 青山 満さん
92年に新卒で入社、販売、営業職を長く務め、16年から人事総務部東京人事総務課課長。

――21年春卒業予定者の採用活動のスケジュールは。

 福西 プレ採用活動は昨年の12月から始め、学内での合同説明会や業界研究セミナー、各種プレ採用イベントに参加中です。ワンデーインターンシップも、20年春卒採用から各地域で開催しています。3月1日から合同企業説明会が始まり、4月上旬に自社の説明会を開始し、選考へと進み、6月中には採用を終了する計画です。

 和田 インターンシップは基本的にワンデーで、昨年の夏から2月まで東京、大阪、名古屋、福岡で何度も開いています。冬から面接も開始し、3月から説明会を開き、例年通り6月上旬に採用を終える予定です。

 青山 当社も数年前からワンデーインターンシップを、夏は8、9月、冬は1、2月に東京、大阪で開いています。夏休みごろから内定者のいる学校を訪ねて先生にあいさつし、12月中旬から学内セミナー、2月を中心に合同企業説明会などのプレイベントに参加します。3月に入って自社の説明会を開始し、下旬から1次面接を始め、6月には採用を終了します。

――キャリア形成の流れは。

 福西 新卒者は入社後、店舗で販売の仕事から始め、早い人で3年、平均5年で店長、7~10年かけてストアマネージャーやエリアマネージャーになります。販売職や店長も本部スタッフになれる社内公募制度があり、約20ブランドあるので定期的に公募をかけ、プレスやEC担当、デザイナーや人事にも異動が可能です。自己申告と適性に応じて配属を決めます。

 和田 やはり総合職は店頭の販売業務からスタートします。キャリア形成のための制度は、抜てきと異動希望の二つあり、抜てきでは店長や本社の人間が個性や意欲を見て辞令を出します。今春、1号店を出す「オリエンス・ジャーナルスタンダード」は、若い世代の客層を増やす狙いで20代の社員4人を登用し、開発を任せた業態です。異動希望制度では半年に一度、会社に希望の所属や職種を申告でき、思いのたけを書いた書類や面談で判断し、異動が実現しています。

 青山 社内公募制と、自己申告に伴う部門間異動があります。公募は人事総務が窓口となり、現職の上長は知らないまま、公募している担当部署の部門長が面接して選考を進め、内示を出します。自己申告は年2回、上長と評価シートを基に面談し、2、3年後に企画職やMD職になりたいなど希望をアピールします。

◇求める人材

――社として求める人材は。

 福西 子供服を手掛けているのでファッションと子供が好きで、笑顔が素敵な、子供と仲良くなれる人。人間関係を円滑に進められ、相手を思いやり、感謝する気持ちを大切にしながら日々の業務を行える人ですね。

 和田 ファッションが好きで何かしたいという意欲を原動力に、成長や学習、創造の意欲を広げていける人がいいですね。意欲的で、積極的に動ける人と一緒に働きたいです。

ベイクルーズ 和田万里花さん

 青山 ファッションが好きなことはもちろん、見えない部分にもこだわってコーディネートできる人。人と接することが好きで、楽しく接客でき、仲間と意思疎通が取れる人。そして、接客や人間関係など常に問題意識と思いやりを持ち、業務に当たれる人材を求めています。

──採用で最近の学生と接していて気になる傾向は。

 青山 何でも携帯で調べられ、通販で買う人も多いので、店舗に足を運ばず、「携帯では、よく見ています」と言う学生が目立ちます。行かないと分からないし、行く価値があるのに、自分が働くかもしれない現場に行かなくて大丈夫かなと感じます。

 福西 みんながインターネットから情報を取っているので、発言に違いが出にくいですね。店舗を自分の目で見て、スタッフと話している人は、共感して入社意欲が高まりますし、意識の高さは行動力に表れます。子供のころ、当社の服を着ていてファッションが好きになったと話す学生が多いですが、今のナルミヤを担う人材として、今のいろんなところを見てほしいですね。

 青山 説明会などで、話が終わってから質問がないか聞いても、手が挙がらない。もっと知ってほしいですし、折角の機会なので質問を用意してきたらいいのにと思います。

 和田 空気を読み過ぎて、手を挙げない傾向が強いですね。承認要求はあるので後から個別に質問に来る人は多い。それから直近の採用活動では、働く目的や将来、何になりたいかを話せる人は多いのですが、目標に行き着くための手法、何をすればいいか思い浮かばない学生が多いです。

 福西 以前は子供服に絞って受ける人が目立ったのに、ファッション以外の業界との併願が増え、業界ごとに数社など決め打ちする人が増えています。

 和田 昔は人一倍、服が好きな人しか選ばない業界でしたが、服に興味があるからなど、前と違う温度感で受けに来ていますね。

──そんな最近の学生に伝えたいファッション業界の魅力は。

 和田 自らを高め続けられる点と、人の人生に関われる点ですね。お客様への話し方、店頭での姿勢、流行や場面に合わせたメイク法など、自分磨きにゴールはありません。娘さんの晴れの日の服など、自分の選んだ服が一生の思い出になることもある魅力的な仕事です。

 青山 好きを仕事にできる業界。また就活の時、働いている人と会える数少ない業界なので、ぜひ実際に店舗へ仕事を見に行き、質問をしてほしい。販売員も応援したいと思い、忙しくなければ喜んで答えるはずです。

 福西 当社の場合、子供が服を好きになるきっかけを作れ、服を通して子供の成長に関われる点ですね。特別な日に着た服を妹や我が子に引き継ぐ人や、愛着のあるブランドを孫にプレゼントする人も多く、世代を超えて愛される点が魅力です。

ナルミヤ・インターナショナル 福西隆志さん

――働く環境はどうですか。

 福西 産休・育休制度が充実していて毎年、約50人が産休を取り、産休・育休の取得率は100%。復帰率は98%で、店長や本部スタッフとして活躍するママ社員も多いです。2、3人育てながら働いている方もいて、夏や冬にまとまった休みも取れ、残業は月平均6時間です。

 青山 新入社員の不安を減らす狙いで数年前、メンター制を作りました。配属先とは別のブランドの入社3、4年目の先輩社員が兄や姉役を務め、入社から1年間、相談に乗ります。仕事の後、食事しながら話し、食費は手当として会社が支給します。また少ないと思われがちの休みも以前より増やし、自分磨きに力を入れてもらうために、資格取得支援制度を設けています。販売士検定の2、3級、英語や簿記、カラーコーディネートなど各種資格・検定試験の合格者に、かかった費用以上の報奨金を支給する制度です。

 和田 働き方改革が叫ばれていますが、仕事が楽しい、できてうれしいという働きがいが大切だと思い、働きがいを感じられる制度を多く設けています。「ベイスター制度」は販売職や店長のための制度で、着実に実績を積み、専門性を磨けばベイスターに認定され、評価と報酬が上がります。職種や社歴を問わず新規事業を役員に提案し、採用されれば事業化に関われる「新規事業提案制度」も作りました。

◇企業選び

――企業選びのアドバイスは。

 福西 まず自己分析をし、社風、制度・待遇など何を重視するか考えること。ファッションが好きならネットの情報だけでなく、自ら足を運んで様々な企業を見て、いろんなイベントに行って人事や現場の人と会い、求める雰囲気、目指す形を探さないと早期退職につながりやすいです。逆に働くイメージを持てればミスマッチは起こりにくいです。

 和田 自分と企業の価値観を基準に選んで下さい。一緒に働く人や環境は選べないことが多い。その会社の雰囲気や人の向こうに見える企業の価値観をつかみ、自分のがんばる軸、好きなもの、こだわりなどの価値観と照らし合わせて選んでほしい。

 青山 自分なりに就活の時系列の計画を立て、多様な業界の研究から、一つの業界に絞る時期、具体的な企業選びと、段階的にこなしてほしいですね。

ジョイックスコーポレーション 青山満さん

――エントリーシート(ES)では何を見ますか。

 青山 ESが第一印象になるので、人に読んでもらう前提で字を書き、構成を考えているかを見ます。提出する会場で写真を貼ると期限内に出せない人に見えますし、誤字脱字、鉛筆の下書きの消し忘れも要注意です。

 福西 字に心を込め、限られた枠に収まるように、自分の思いが書けているか。内容も熱意もしっかり見ています。

 和田 スタイリング写真を貼る欄を設け、普段の服装や小物を合わせるセンスなど、すごく参考にしています。何スタイルか貼ってもいいですし、面接時も写真との差などを見ています。

──面接で見るポイントは。

 青山 ファッション業界なので私服で好きなコーディネートで来ていただきたいのですが、清潔感が大切。頭のてっぺんからインナーや靴下、アクセサリー、靴の泥まで気を付けて下さい。

 福西 就活スーツや子供服を意識した服でなく、普段通りの服装がよく、働く姿をイメージし、自社の雰囲気に合うかを見ています。ファッションセンスから立ち居振る舞いまで見ます。

 和田 1次では価値観を見ます。どんな人かを知りたいので、幼少期の過ごし方、ファッション遍歴など気になったところを掘り下げます。2次ではファッション業界で働く目的を聞きます。

──最後に学生へのメッセージを。

 福西 就職活動が早期化、長期化して大変だと思いますが、大切にしたい軸を変えず、多くの企業の現場を見て情報を集め、自分に合う企業を選んでほしい。「ここでいいや」でなく、「ここで働きたい」と確信が持てる企業を見つけて下さい。

 青山 受けたい企業について、親兄弟や先輩、同級生などいろんな人に意見を聞き、参考にして下さい。就活後やアパレル以外でもいいので様々な接客を実際に経験し、視野を広げてほしい。

 和田 就職活動で内定はゴールでなく、今後、どんな人生を歩むかにつながります。幅広い経験の中で好き嫌い、良い悪いを判断し、価値観を作る必要がある。着たくない物、やりたくないことも学生時代しかできないと思って経験し、視野を広げて下さい。

(繊研新聞本紙20年2月5日付)


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