広がるオーガニックコットン 商社がブランディングを強化【ファッションとサステイナビリティー】

2025/08/28 05:30 更新


 「世界的に需要が高い」、「海外では(綿であれば)オーガニックコットンが標準になってきた」と商社は、オーガニックコットン(OC)の扱いの拡大や差別化のためのブランディングに力を入れている。

 20年前から「オーガビッツ」プロジェクトを進めているのが豊島。05年からスタートしたこのプロジェクトには多くのアパレルブランドが参加し、年間100万点前後の製品を作る。

 できるだけ多くの人に届けようとOC100%にこだわらず、OCの混率10%から設定できるようにすることで活動の輪を広げている。

 ヤギは、環境配慮型素材ブランド「ユナ・イト」シリーズの中に、インド産OCを中心にした「ユナ・イトオーガニック」を位置付けてブランディングする。

 OCの24年度の取扱高は前期比25%増だった。今後、国内の糸売りに加え、海外向けを大きく増やす。

 印のOCを使った新ブランド「コンフィル」を立ち上げ、国内外に向けて広げているのがSTX。海外向けを強めようと中国や東南アジア向けの糸輸出やコンフィルを使った生地販売に力を入れている。

高いハードル

 引き合いが強いと言われるOCだが、テキスタイル・エクスチェンジの22年のリポートによると世界で生産される綿花の中でオーガニックコットンが占める割合は約1.4%と一部にとどまる。

 生産シェアが大きく伸びないのは、通常の綿花栽培から有機綿栽培に転換するには高いハードルがいくつもあるからだ。

 除草剤や殺虫剤、化学肥料を使い、収穫時には落葉剤を散布して機械で効率よく刈り取る大規模な綿花栽培と比べ、農薬や化学肥料を使わない有機栽培では、手作業で雑草や害虫処理をするなど手間暇が多くかかる。

 またOC認証を受けるには、基準に沿った有機肥料などで土壌を作り、禁止されている農薬などは使わず、転換期となる約3年間、オーガニック栽培を続ける必要がある。

 スタイレム瀧定大阪は、「OCの収穫高を増やすにはOCを生産する農家を増やす必要がある」と4年前から印の綿花農家を支援し、OCを増やす「オーガニックフィールド」プロジェクトに取り組む。

 大きな課題と位置付けるのが、有機栽培への移行期問題だ。通常の綿花栽培から有機栽培に切り替える約3年間は、手間やコストは増えるにもかかわらず、OCとしては販売できないため、綿花農家はOCへの転換に二の足を踏まざるを得ない。

 それを解決しようと、スタイレムは印NSLグループとパートナーシップ協定を結び、非遺伝子組み換えの種を選定して農家に配布。移行期間の収穫高の減少などによる農家の収入減を支えるため、市場価格にプレミアムを加えた価格で綿花を買い取っている。

スタイレム瀧定大阪は、印NSLグループとパートナーシップを結び、種、畑から管理することでトレーサビリティーを確保している

 他にも種植えから収穫にまで関わり、蓄積したノウハウの提供や技術指導も行う。そうした活動により契約農家が増え、年間生産量は糸換算で300トン規模にまで高まってきた。

きっかけは偽装問題

 インドではOCの認証偽造問題が度々起きており、トレーサビリティー(履歴管理)の確保が重要だ。

 スタイレムがオーガニックフィールドの取り組みを始めたのは、インドでのOC認定書偽造問題がきっかけだった。それまでは糸段階までしか履歴管理ができなかったが、思い切って種、畑から関わるようにした。

 ヤギは、インド産OCで農場のトレース管理と国際認証「GOTS」(グローバル・オーガニック・テキステイル・スタンダード)を結びつける独自のシステム「コットンアイディー」を確立した。インドのナハール・スピニング・ミルズとの協力で運用している。

物価高が逆風

 懸念は物価高の影響だ。「国内、特に中小企業でOCの採用意欲が下がっている」と聞く機会が増えた。

 「これまで積極的にサステイナブル商材を求めてくれていた取引先が、価格の面から通常の綿花やバージンのポリエステルでいい、と方針を転換しつつある」と逆風が吹いている。

 取り組みには賛同しても価格が高いと買ってくれないのが実情で、それは消費者も変わらない。

 そのため商社は、原料から糸、生地、製品までを一貫で手掛けて製品で納品することでコスト高をできるだけ吸収したり、用途を広げるなど様々な工夫を凝らす。

 OCでは、豊島がオーガビッツの取り組みで進めているように、OC100%にこだわりすぎないことがヒントになる。

 ポリエステルなどと組み合わせて機能性が高い付加価値商材に仕上げるなど市場ニーズを見極め、それと合致させることが重要だ。

 環境に配慮した商材であっても価格問題を克服しないと広がらないのは、過去の例から見ても明らかだ。

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(繊研新聞本紙25年8月28日付)

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