【ファッションとサステイナビリティー】アウトドア企業 循環型社会へ取り組み本格化

2019/12/08 00:00 更新


 国内のアウトドアメーカーが、循環型社会の実現に向けた取り組みを本格化している。

●次はテントから服

 キャンプ用品メーカーのスノーピークは10月から、日本環境設計が手掛けた再生ポリエステル樹脂を使った自社製造のニット製品を直営店で販売するとともに同製品の編み立てに使う島精機製作所の「ホールガーメント」を、新潟県三条市の本社屋に入れ、製造過程をユーザーに披露している。製品が編み上がる過程を実際に見せることで、生地の裁断や縫製の必要が無く、原料ロスが出ない製造方法を伝えるほか、リサイクルの循環の仕組みそのものを体感してもらう機会とする。

 新たに発売したニット製品「HQホールガーメント」は、ポリエステル100%(リサイクル糸50%・レギュラーポリエステル糸50%)を使い、乾きやすく、コットンのような風合いに仕上げている。3色展開で、大人用1万2000円、子供用7800円。発売時の取り扱い直営店は、本社のあるヘッドクオーターズや二子玉川、東急プラザ銀座、大宰府。販売店舗は今後順次、増やしていく。

 同製品の製造見学は、過去の自社製品を展示する「スノーピークミュージアム」の見学と合わせて、1日3度、案内する。

 スノーピークは昨年7月「地下資源を消費する社会から地上資源を循環利用する社会へ」というビジョンに共鳴し、日本環境設計に出資した。今年6月からは同社の再生ポリエステル樹脂を使ったTシャツを販売。国内の直営店全店では、ブランドを問わずに衣料品などの回収も始めた。

 今回の施策で、「リサイクル衣料の回収」「再生工場での生成」「再生糸でのアパレル製造」「販売」というサイクルを、服を軸に構築できたと見る。今後はテントやタープ類から服へのリサイクルに挑む。

●買い物袋もシェア

 20年4月から直営全店で買い物袋を全廃することを決めたパタゴニア日本支社は、10月16日から各家庭で使用されずにあるエコバッグ(他社製品含む)の回収を始めた。各家庭から寄付されたエコバッグを循環・共有する「エコバッグ・シェアリング」の一環で、回収したエコバッグは、買い物袋全廃時に買い物袋がどうしても必要な客に提供する。

 同社は89年に日本1号店を開業して以来、マイバッグの持参を推奨してきた。07年からは海外工場出荷時に製品を梱包(こんぽう)する袋をデポジット制で循環する仕組み「デポバッグ」を採用。こうした取り組みを通じて、現在では購入客の8割以上がマイバッグを持参するようになっていたため、デポバッグ含む買い物袋を全廃することにした。

本社内にホールガーメントを置き、オープンファクトリーとして公開しているスノーピーク

(繊研新聞本紙19年12月4日付)

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