ファーストリテイリング NYで初の展示会

2017/03/31 06:27 更新


柳井会長

 ファーストリテイリングは、ニューヨークでグローバルなメディアを対象としたユニクロの17~18年秋冬物展示会を開催した。年2回東京で開催していたものを、初めてニューヨークで開いた。柳井正会長兼社長は、「ニューヨークの発信力は強い。外国語の媒体でアピールしないとグローバルに浸透できない。一番ふさわしいのは、ニューヨーク」と説明した。

(ニューヨーク=杉本佳子通信員、写真も)

 柳井会長は、「情報を商品化する情報製造小売業になる。服を変え、常識を変え、変化するライフスタイルにより結びつくように、人々の生活をより豊かにできる会社になる」と語った。展示会場では「デニム」「ユニクロU」「エアリズム」など各ラインごとに商品を展示し、それらをミックスした秋冬コレクションをミニショー形式で見せた。

展示会

 別室で行われた日本のメディア向けの会見で柳井会長は、アメリカで赤字が続いていることについて「仕方がないのではないか」と答えた。欧州のファストファッション企業がアメリカで当初巨額の赤字を抱えたと聞いているとし、「まだそこまではいっていない。がまんしないといけないということ」と話した。アメリカでは、今後は東海岸と西海岸の大都市に集中して年間20~30店のペースで出店する計画だ。一方、郊外のB級、C級モールの店ではユニクロの商品が求められていないと結論付け、閉店していく。

■情報集め見極める

 商品は、各店の需要に見合った品揃えを強化する。「アメリカこそ、個店経営しないといけない。地域によって売れるものが違う。ボストンでも、観光客が多い店とビジネス客が多い店では、全く品揃えが違う」と述べた。

 一貫して強調したのは、「ファストファッションをやるということでは決してない」ということ。ユニクロの歩むべき道は、良い情報を集めて自分たちに適した商品はどういうものかを見極め、それに沿った商品を作っていくことに尽きるという考えだ。東南アジアでダイエットのために夏に「ヒートテック」が売れる例を挙げ、ライフスタイルや嗜好(しこう)の変化をとらえて商品を作ることに力を入れると話した。「全ての仕事を同時期に同じ場所でしているような業態になりたい。本当に良い服、新しい服をできるだけ早く、できるだけたくさんの人に届けたい」という。

■直接送付が普通に

 「工場から世界中のお客一人ひとりに直接商品を送る」戦略では、「3年とは言わないが、4、5年後にはそれが普通になっているのではないか」と語り、同社に限らずそうした動きが広がるという見方を示した。

 トランプ大統領が国境税の実施やアメリカ国内の工場で作ることを求めるようになっていることに関しては、「アメリカ生産はありえない」と断言した。「お客のメリットにならなくなったらアメリカから撤退する」と明言した。

 ユニクロは、ニューヨーク近代美術館との複数年スポンサー契約を更新したことも発表した。これにより、毎週金曜日午後4~8時に同美術館を入場料無料にする「ユニクロ・フリー・フライデー・ナイト」と、同美術館が所蔵するアート作品をデザインモチーフにした商品の企画・販売を継続する。

展示会


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