ファッションジュエリークリスマス商戦結果 12月の客数減が顕著に

2025/01/07 10:59 更新


エテ

 ファッションジュエリーの24年クリスマス商戦の売り上げは、多くのブランドで前年並みから前年比5%増程度の伸びにとどまった。この間の価格改定を背景に客単価が上昇した一方、日並びの悪さもあり、ギフト向けの客数が想定以上に伸び悩んだ。消費の二極化の進行を指摘する声も多く、MD面での一層の対応が必要となっている。

(中村維)

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 8ブランドに12月1~25日の既存店売上高を聞いたところ、5ブランドが前年同期実績を上回り、1ブランドが前年並み、2ブランドが前年を下回った。なお、客数で前年を上回ったブランドはゼロ。全体の商品単価が上がったことで、低価格志向のギフト需要がコスメなどに一層流れたとの見方もある。

ピーク時に伸び悩み

 「ボーナス商戦は好調だったが、ピークと見込んだクリスマス前の週末に客数を伸ばせなかった」とするのは「ヴァンドーム青山」(ヴァンドームヤマダ)。売り上げは前年同月比で2%増。中心客単価は価格改定の影響や自家需要の伸長で7万円台となり15%増となったが、客数が10%減だった。10万円以上のK18ダイヤモンドネックレスやプラチナとあこや真珠ネックレスが好調に推移。20万円近いセットリングも想定を上回る実績があった。ECは微増。

ヴァンドーム青山

 「アガット」(サザビーリーグエーアンドエスカンパニー)も前年実績を上回った。客数は減少したが、客単価はこだわりの高単価アイテムが動いて4万円台後半となり向上した。自家需要は12月前半から後半まで好調に推移するも、ギフトはピーク直近でもカップル購入が苦戦した。売れ筋は得意とするリングや、チャームとチェーンのセット。ECは前年割れ。

 「4℃」(エフ・ディ・シィ・プロダクツ)は、客数10%減、客単価6%増で前年比約5%減となった。女性による自家需要商品を強化したことで、女性向け売上高は前年比18%増に。このうち、自家需要は前年比30%増と伸長。15万円以上の高価格帯商品やリング・ブレスレットが人気。一方クリスマス商戦期に売上高構成比の高い男性ギフト客は苦戦した。ECは微減。

 「エテ」(ミルク)は前年比5%増の売り上げ。客単価は7%増の2万4400円。客数は2%減。K18ジュエリーが伸び、客単価を押し上げた。イヤージュエリーの「ハグコレクション」もヒット。ECは客数、客単価ともに伸び22%増。先行予約時に実施したカスタマイズ企画がヒット。インスタライブやサイネージなどでのムービー放映なども集客につながった。

 「ジュエッテ」(同)の12月の実績は前年並み。クリスマス時期に高単価ジュエリーの選択肢を増やし客単価が5%増の1万4175円と伸長した。一方、ギフト向けの2万円以下の商品は反応が鈍く、客数減となったと見る。ピーク時付近の客足も分散した。1番人気は、「ブランシュ」のモードなハートモチーフのアイテム。ECは2%増。なお、エテ、ジュエッテともに男性の自家需要や男性へのギフトが増えている。

二極化さらに進行

 二極化が一層進んだとの声も多かった。

 「スタージュエリー」は客数減、客単価12%増でトータル売り上げは約5%増となった。平均客単価は6万5000~7万円。「価格高騰とニーズの二極化」が今年の特徴とする。11月は好調だったが、12月は「昨対・目標に対しては堅調も、盛り上がりとは程遠い」と指摘する。人気だったのはトレンド感のある「キッシングボールズ」や、希少性の高いサンタマリアアクアマリンを使った限定品など。ECは客数2%減、客単価8%増。

 「フェスタリア・ビジュソフィア」(フェスタリアホールディングス)は、客数は前年並みを維持、客単価が伸び、トータル5%増となった。中心客単価は6万円。12月初めの土日までは顧客の動向が活発だったが、ギフトの客数が伸び悩んだ。ギフトは1万~3万円の低単価品が主軸となる一方、自家需要では価格と価値に納得感のあるダイヤモンドジュエリー(10万~30万円)が好調に推移。「消費の二極化が明確に表れた」。ECは32%増と大幅に伸長した。

 「ポンテヴェキオ」(ポンテヴェキオホッタ)は5%減。客単価は伸び、平均で10万円となるも客数が減少した。10万~20万円の価格帯は堅調だったが、全体のプライスライン上昇に伴い男性ギフトなど低予算の客層の取り込みで苦戦した。9月末の価格改定を受け、顧客の買い上げもマイナス基調に。アイテムではネックレスは前年並み。リング、ピアスは苦戦。ECは10%減だった。



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