イコーランドシブヤ、二風谷アイヌの工芸作家とクリエイターのプロジェクトを紹介

2022/02/10 11:00 更新


木彫りの盆「二風谷イタ」や手織りの「二風谷アットゥシ」などの作品も展示している

 二風谷アイヌの技術をより多くの人たちと共有していきたい――。ワンオーが運営するコミュニティー型ショップ「イコーランドシブヤ」は、北海道平取町二風谷のアイヌ工芸を将来につなぐ「つくって・出会って二風谷アイヌクラフト」を2月27日まで開催している。工芸作家の作品とともに、クリエイターとの協業商品を展示販売し、現代の暮らしに溶け込むデザインの豊かさを伝えている。

 二風谷アイヌプロジェクトは20年度にスタートした。21年度は「平取町アイヌ文化のブランド化推進事業」の一環として実施。5組の協業チームで、より身近に使えるプロダクトの開発に取り組んだ。

 一例は、刺繍や編物の工芸作家の尾崎友香さんと、アートディレクションに携わる今福弘樹さんによるボディーバッグ「ラタ」(本体6450円)。アイヌのきもの「カパラミプ」の切伏刺繍から発想を広げた。様々なテキスタイルをアイヌの柄として重ね合わせ、その上に切伏刺繍を施したマスターピースを制作。それをもとにプリントした素材でバッグを作った。

 「柄をいかに現代風に転換していくか、装いのアクセントになるきれいめの柄を目指した」と今福さん。様々な生地を集め、尾崎さんと議論しながら一つの形にしたマスターピースは、欧州メゾンのビンテージスカーフをアイヌの文様へとカットし、花柄やチェックの生地と色を合わせてパッチワークしており、切伏刺繍の力強さとエレガンスが調和している。

切伏刺繍を施したマスターピースとボディーバッグ

 また、木彫りの工芸作家、貝澤守さんとプロダクトデザイナーの原田元輝さんは、アイヌの短刀「マキリ」の伝統的な彫りをレーザー彫刻で施した万年筆「イヌイェ」(2万円)を作った。緻密(ちみつ)でスマートな彫刻、木と金属を組み合わせた質感が新鮮だ。

 「手彫り製品を皆に使ってもらうのは難しいが、手彫りの良さを生かしながら斬新なものに仕上げてもらった。クリエイターは、自分たちにはないアイデアをたくさん持っているので、協業を通して若い世代を育成する環境を大事にしていきたい」と貝澤さんは話す。

短刀のマキリの文様を現代生活に使いやすいアイテムに発展させた


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