ファナティック(東京、野田大介社長)が提供する、ECサイト上の再入荷通知を実店舗にまで広げた機能が予想以上の成果を生んでいる。2月末にパルが先行導入したところ、1カ月のリクエスト商品の総額は億円単位にのぼるなど「結構入っている」(堀田覚専務執行役員)との受け止め。約40ブランドに実装しているが、夏には残りのブランドへの導入も進める。通知がLINEに届く気軽さも受けている。
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ECサイト上でのリクエストで、実店舗での入荷まで通知する仕組み。ECサイト内での再入荷通知リクエスト機能は珍しくないが、それが身近なLINEで通知され、さらに店舗で現物を確認できるサービスはなかった。LINEの自動配信ツール「ワズアップ!」を通した完全自動配信のため運営側の手間はかからない。ユーザーの会員登録は不要で、LINEの友達追加のみ。実装コストも軽い。
サイト上の予約や再入荷連絡では直接の商品確認はできないが、実店舗への入荷なら試着もできる。店舗で再入荷を依頼はできても人を介するため購入圧力が強くなり、頼みづらい人もいる。「(EC上でリクエストして)通知を受け、仕事帰りにふらっと店に寄り、気に入ったら買うという、多くが望む購入体験を提供できる」と野田社長。来店促進にもつながる。
堀田氏は「もともとECサイトでの再入荷通知機能の効果は感じていた。実店舗回帰の流れで有効だと思った」という。ブランドによっては頻繁に商品が変わるため、当初は効果に半信半疑だったが、想像を上回る量という。パルのECの5%程度にあたる。
実店舗のリクエスト数が分かるため、店舗ごとの商品配分の適正化に役立つ可能性もある。
リクエストが販売につながった割合は、会員登録を経ずに購入する場合もあるため正確には出せないが、リクエスト量は把握できるため次の改善ステップに移れる。今後は売り上げとの連関も捕捉できるアプリへの実装も検討している。
(繊研新聞本紙24年5月9日付)