ドーム、大学スポーツ改革に挑む 運動部を正課に

2018/01/26 04:28 更新


 米「アンダーアーマー」の日本総代理店であるドームが、大学スポーツの改革に挑んでいる。まず着手しているのは、運動部を課外活動という位置付けから正課にした上で、会計を大学と統合し、人事も管理すること。そのために、学長や理事長などトップの下に、実務を担う新組織「アスレチックデパートメント」(AD、体育局)の設置を目指している。

(杉江潤平)

 16年に同社と包括的パートナーシップ協定を結んだ筑波大学で、今年4月に立ち上げるADが設置第1号となる。今後、ADが各運動部の会計と人事を掌握し、学生アスリートの安全管理や学業指導、スクールブランディングといったチーム横断的な施策を講じる。

 米国では、大学スポーツは正規のプログラムであり、各運動部は大学に所属し、その人事や会計は大学のプロセスに組み込まれている。学生アスリートは大学を代表して試合に出場し、大学の知名度アップと興行収入を支える役割を担う一方、大学は彼らの活動をサポートする。これに対し日本では、運動部はあくまで任意団体で、大学の管理下にはない。そのため、学生の安全管理や学業成績に対する責任の所在があいまいになっていた。

 ドームは、大学スポーツの産業化には運動部を大学の正課として組み入れることが前提になると判断。ADの設置に向けて、協定を結ぶ筑波大で17年8月に「AD設置準備室」を新設し、その暫定アスレチックディレクターにドームの安田秀一代表取締役CEO(最高経営責任者)が就き、調整を進めていた。

 筑波大では今4月に正式にADを設置。まずは硬式野球部と男女ハンドボールチームを統括し、スポーツマネジメントを一括して行う。今後はこれまでチーム独自に賄っていた合宿や遠征費、道具代などは大学側が負担することになる。

改革進める力に 安田ドーム代表の話

 米国では、部活は大学・学生のもので、教育の一環だと明確に定義付けられている。大学スポーツを統括するNCAA(全米大学体育協会)も、「学業」「健康」「公正さ」を基本理念にうたう教育機関。その価値を最大化させるために、スポーツイベントを開催し、その収益を教育環境の改善に還元している。

 日本をこの姿に変えようとする場合、何かしらのスーパーパワーが必要になり、そこを当社が担う。日本では興行権を競技団体が握っているため、筑波大での取り組みなどで当社は全くもうからず、経済的なサステイナビリティー(持続可能性)は担保されていない。しかし、改革はどこかでスタートしなければならず、持ち出しは仕方ない。

部活動を大学の正課とするため、ドームの安田CEO(中央)は新組織準備室の責任者を務める=就任会見で


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