ジーンズを担当して20年の繊研新聞記者が、方々で仕入れてきたジーンズ&デニムのマニアック過ぎる話を、出し惜しみせず書き連ねます。今回は、時代の潮流であるエコ。ジーンズにも向き合わざるを得ない理由があった―――。
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6、枯葉剤を使わないジーンズのエコスタイル~綿花栽培の話~
エコロジー(地球環境保護)が世界的なトレンドになり、ジーンズでも環境にやさしい生産方法や、人にやさしい素材などが重視されるようになってきた。
衣料品で多いのがオーガニックコットンを使ったもの。ジーンズも基本的には綿製品なので、オーガニックコットンを採用するブランドがいくつかある。すべてオーガニックコットン使いにしたジーンズブランドとしてはスウェーデンの「ヌーディー」が有名だ。エドウインが販売する「リー」にもオーガニックコットンを使ったものがある。
オーガニックコットンは、基準に定められた有機肥料などによる土壌作りを行い、禁止されている農薬の類をいっさい使わないで栽培したもの。綿花の栽培面積は地球上の全耕地面積の2.5%を占めるが、農薬使用量では6・8%(2008年当時)を占め、Tシャツ1枚当たりの農薬使用量は150グラムに達するともいわれる。農薬による農家の健康被害や、農地の土壌悪化の危険性もある。
発展途上国では綿花を手摘みしているが、アメリカでは機械で一気に摘み取る。そのとき葉が残っていると綿花と一緒に摘んでしまい、葉の葉緑素が綿花に付着して台無しになってしまう。そこで米国では枯葉剤を使って、まず葉を枯らしてから綿花を摘み取る。
枯葉剤というとベトナム戦争を思い出す人も多いと思うが、ダイオキシンによって奇形児が多く生まれるなどの健康被害が発生した。綿栽培に使われる枯葉剤はダイオキシンを薄めたものだが、それでも安全とは言い切れない。オーガニックコットンではそうした農薬の使用が制限される。
オーガニックコットンの認定を受けるには、3年間有機栽培を続けないといけない。認定を得られるまでの3年間は、農薬や化学肥料の使用が制限されるために綿花の収穫量が落ちてしまう。しかもオーガニックコットンとはうたえない。そうした農家を支援するために、伊藤忠商事とクルックの2社は共同で、移行期間の3年間に栽培されたインドの綿花を買い上げ、プレ・オーガニックコットンと名づけて販売している。意義ある活動である。
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