「推し活」女子の消費額は月平均「1万6091円」――情報通信のマイナーロール(埼玉県日高市)は、運営する推し活メディア『Oshimoa』と推し活サイトで、推し活女子の消費に関する調査を行った。「推し活」という一つのワードにおける消費活動にはたくさんの費用項目があり、人によっても様々だが、「公式」への消費だけでなく、より広い推し活をする上で関連する費用項目に関する調査を行った。
調査は、「推し活をすることで若年層の女性が、生活に必要な費用を除いて、月にいくら使うのか」を調査。公式グッズやライブなどに使う費用だけでなく、遠征の際の交通費や推し活を一緒にする友人とのカフェ代などを含めた。対象は34歳までの推し活をしている女性で、486人が回答した。
熱量高い中高生
年代別の推し活に消費する平均費用は、一人当たり月間で、18歳以下8296円、18~24歳2万894円、25~34歳2万2759円。
中高生のうち約半数が5000円以上を使い、約6人に1人が1万円以上使っている。「この金額は自分で自由に使えるお金を増やす手段が限定されている中高生では高い数字」と分析。自由な時間や行動範囲が他の年代よりも限られる年代を考慮すると、18歳以上の一人当たりの金額の半分という額は、「推し活におけるとても高い熱量を表している」としている。
18~24歳(高校生除く)は、半数以上が1万円以上。月に5万円以上と回答した人の中には10万円以上の人もいた。行動範囲や可処分時間が増えることから、遠征での現場参戦や多ステ(ライブや舞台、イベントなどで1シーズンの間に複数回参加すること)も可能になり、年に数回の多額の消費が含まれることも要因。「その他の消費を我慢するほど、推し活関連消費への意欲がとても高い」と分析。収入のうち、生活費や毎月の積立貯金を除いて余った金額を趣味に使うのではなく、推し活という明確な消費を目的にして労働・貯蓄している。
25~34歳は、18~24歳の推し活消費とあまり変わらない結果が見られた。25~34歳の世代は、多くが社会人としての生活に慣れ、経済的に自立している年齢。将来に備えたライフスタイルを意識する時期でもあり、月収を25万円前後と考えると、18~24歳の年代に比べて推し活などの趣味に充てる金額は少なくなる場合も考えられる。
一緒に推しを推す
この結果から、同社は「年齢を重ねても推し活への熱量は大きく下がらない」と考察。事業者の視点で考えると「推し活というキーワードはより大きい顧客生産価値を獲得するための重要な要素だ」と力説している。
また、推し活をする層の消費意欲を喚起するための最も重要なボトルネックは、「その消費活動が推しのためになるかどうか」と分析。推し活をする消費者が、商品を認知してから購入するまでの心理プロセスは一般的な消費財と異ならない。SNSやUGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用した口コミを利用したバイラルマーケティングも、既存のZ世代に向けた一般的に用いられるフレームワークと共通している。
ただ、今回の調査から、推し活層の特徴として「他のことを我慢してでも推し活に多額のお金を使う」ことが分かった。推し活層へのマーケティングでは、「その人の生活に便益をもたらすかというよりも、その消費が推しのために役立つかどうかということが重要になる」としている。加えて推し活層の効用を最大化するために、消費者の生活の中での課題解決を目指すよりも「消費者と同じ目線に立って一緒に推しを推す、という姿勢でプロダクト設計やPR活動を行うことが重要になる」と結んでいる。