コロネットは、スタイリストの小沢宏氏が企画・運営するライブストックマーケットと協業してサンプルセールイベント「ライブストックマーケット・ウィズ・コロネット」を、南青山のイベントスペースで開いた。セールとはいえ、ショッピングを通じて社会貢献するファッションフェスをコンセプトにした
ライブストックマーケットは「デッドストックを生き返らせる」を合言葉に、メーカーやセレクトショップが倉庫に眠らせていた在庫品を小沢氏がセレクトして新鮮な商品によみがえらせる企画。商品一つひとつに小沢氏のおすすめコメントを付けることで価値を高め、希望小売価格よりも安い値段で販売してきた。
これまでパルコやアーバンリサーチなどの売り場で期間限定イベントとして行ってきた企画を、コロネットのサンプルセールと融合させた。企業が主体となった取り組みは初めて。小沢氏のアプローチで実現した。
中心商品はプレス活動用に使ったコロネットの扱いブランドの24年春夏サンプル約500着。小沢氏とコロネットのスタッフが厳選し、コメントを添えた。そのほか小沢氏が準備した商品も並んだ。
合言葉は「イッツノットセール、ディスイズファッションフェス!」。取引先や関係者に向けたシークレットなセールではなく、一般客がふらりと入れるオープンなイベントを目指した。フェスのムードを壊さないように、セールのPOP(店頭広告)や値引額は表示しなかった。
来場者は2日間で635人。芝生の広場に面した明るい会場は、天気にも恵まれて一般客でにぎわった。売り上げの一部は緑の募金に寄付する。プレス活動で使われたサンプルとはいえ、24年春夏商品はまだ定価で販売しているので、社会貢献で還元することを重視した。
七宮信幸社長は「商品の価値が半年で半分になってしまうことに常々疑問を抱いてきた。特に私たちが扱うファクトリーブランドやデザイナーブランドによる商品は1シーズンで価値が下がるものではありません。価値を下げて廃棄するのではなく、価値を下げずに大切に扱う考え方に賛同した」という。
小沢氏は、ライブストックマーケットの仕組みを使った協業を多くのファッション企業にアプローチしてきた。その打率は3割。簡単なアプローチではないからこそ、「コロネットのような老舗が実践することに意義があると思う」と話す。今後はアウトレットモールや海外のオンラインサイトにも声掛けしたいという。