【解剖】ファッションショーを記事にする コレクション記者の頭の中とは?

2021/08/19 06:30 更新


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ショーを見る小笠原

 SNS全盛の今、ファッションショーは生配信され、消費者もその情報に簡単にアクセスできるようになった。そうした状況下で、繊研新聞のコレクション担当の記者はファッションショーをどのように見て、何を基準に記事にしているのか――。

 「ビューティフルピープル」(BP)の22年スプリングコレクションのファッションショーとそれを見て掲載した記事から、小笠原拓郎編集委員の頭の中を解剖する。

(聞き手・構成=藤川友樹、須田渉美、堀内未来)

何を考えて見ていたか その奥の意図を探る

 ショーでまず流れてきたのは65年に結成された米ロックバンド「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」のボーカル兼ギタリスト、ルー・リードの「ワイルドサイドを歩け」という曲。音楽はデザイナーが曲の背景や年代を下地に服作りをしている可能性があり、ファッションジャーナリストには音楽や映画といった文化的な素養も必要です。

 そしてまず注目するのが「ファーストルック」。最初に象徴的なルックを出してくるデザイナーがやはり多いので、コレクション全体の〝面(つら)〟を大まかに把握します。パターンや素材の組み合わせ方、副資材や芯地、肩パッドなどの使い方を瞬時に観察。今回はメンズ・レディス複合のコレクションで①はメンズだったので、BPがこの間メンズに力を入れていることを再確認しました。

 ②でスカートのヘム(裾)にファスナーやベルトループ、③でパンツのヘムにベルトやバックルを発見。フォルムが変化して異なる着方ができる可能性を頭の片隅に置きます。この間、1アイテムを解体して再構築するコレクションを見せていますので、今回もその流れを継続するのではないかという仮説を持ちます。

 ④でモデルがショーの最中に着替え、スカートがツーウェー(2通り)であることをアピール。ここで確信に変わります。振り返ると、このルックがハイライトだと感じ、記事では④が変形する様子を表現するために3枚の画像を使用しました。

実際の紙面(21年6月30日)

 ⑤までは、どんな構造でどう変形するのかを想像しながら見ていましたが、⑥以降はほとんどメモも取っていません。構造の変化で2通りの着方ができるというその奥に「デザイナーとしてどんな意図があるのか」の部分が気になりだしたからです。多くの表情を出せるアイテムを持つことでクローゼットの服を減らし、サステイナビリティー(持続可能性)に結びつけたいという考え方は理解できるのですが、⑦あたりからは「異なる着方ができる構造にしているあまりに、余分なディテールが入っていて、それが本当に美しいのだろうか」と考えるようになりました。

 BPのここ何回かのコレクションで、パターンを研究して様々な着方ができるアイテムを見せており、それがアイコニックになっています。今回のショーはプレコレクションなので、大きな変化を出す必要がないのかもしれないが、そろそろ全く異なるデザインの方向性を打ち出しても良いのではないか。ディテールの一つひとつが余分に見えるルックもあり、この路線を貫くのであればデザイナーの意図を明確にする必要があると感じ、記事でもそれを指摘しました。


繊研電子版では全文が閲覧できます


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