1883年8月19日はシャネルの生まれた日です。本名はガブリエル・シャネル。フランスのソミュールに生をうけています。ココ・シャネルと呼ばれるときの「ココ」は愛称。というよりもシャネル自身、「ココ」の名前で呼ばれることを好んだのです。
生前のシャネルは後の時代に自分がどのように書かれるのかを気にしていた。それで何人もの記者に「伝記」を書かせようとした。今、シャネルの「伝記」が多いのもひとつにはそのためなのです。ただ、常に同じ「物語」を語ったわけでもありません。まさにシャネルの人生は「秘密」なのです。
マルセル・ヘードリッヒは当時、『マリ・クレール』誌の編集長でした。シャネルに初めて会ったのは1958年8月1日。その時「彼女は、淡い金色がかすかに光る、ほとんど白に近い、ごく軽い布地のスーツを着ていた」。「彼女」がシャネルであるのは、いうまでもないでしょう。その上に、前を大きなコステュームジュエリーで飾ったキャノチエ(麦わらで作ったカンカン帽)。
20年代のパリで「ビーチパジャマ」がはやったことがあります。リゾート地で着るためのパジャマ。シャネルは率先して、このビーチパジャマを愛用したものです。(服飾評論家・出石尚三)