「シャネル」のメティエダール(芸術的手仕事)拠点「le19M」(ル・ディズヌフ・エム)は、東京の六本木ヒルズで展覧会を開催している。日仏の職人やアーティストが参加し、伝統と革新が交差する手仕事の数々を披露、技術継承への取り組みをアピールした。
le19Mは21年、パリに開設した複合施設。刺繍や帽子を制作する11のアトリエが入り、約700人の職人や専門家が集う。シャネルが80年代から進めてきた職人技継承活動の集大成といえる。施設内で展覧会や教育プログラムも行ってきた。
展示は3章で構成。「ル・フェスティバル」は建築家の田根剛氏(ATTA)が空間を手がけ、素材が完成品に近づく過程をインスタレーションで示した。「ビヨンド・アワー・ホライズンズ」には日仏の職人やアーティストが参加。刺繍や織物、陶芸など、伝統技術に現代の表現を重ねた作品を見せる。「ルサージュ・刺繍とテキスタイル100年の物語」では、1924年創業のルサージュのアーカイブを中心に紹介する。

プレビューではトークセッションが開かれ、キュレーターらが登壇。デザイナーの緒方慎一郎氏は「日本の工芸では家族など個人間での継承が多いが、19Mでは共有財産のように広がりを見せている。継承の方法について学ぶ点がある」と話した。
